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「これでよし」
最後の縫合糸の余った部分を切ると、
大野はクーパーを奈美に手渡した。
既に胃全摘とリンパ節郭清は終わり、
術野は縫合されていて
きれいに閉じられている。
「ありがとうございました」
最後も形式通りに大野は頭を下げた。
「……あ、ありがとうございました」
櫻井は何とか声を絞り出すと、
奈美と松本とともに頭を下げる。
２時間近く、超人的な速度で手術を
進めていく大野を、助手として
必死にサポートしてきた。
なんとか最後までついていくことが
出来たが、心身ともに消耗しきっていた。
「お疲れさま。後はやっておくよ」
部屋の隅でずっと手術を見守っていた雅紀が
近づいていて、傷口の上にガーゼを固定し、
患者の体を覆っていた
滅菌シートをはぎ取っていく。
「あ、ありがとうございます」
礼を言いながら軽くよろける櫻井を見て、
雅紀はいたずらっぽく微笑んだ。
「よく最後まで大ちゃんについていけたね。
やるじゃん。もし君が置いていかれる
ようならすぐに俺が交代するつもり
だったんだ」
「すごい手術でした……」
櫻井は横目で、
手術室の壁に埋め込まれている
デジタル時計に視線を向ける。
一般的には
胃全摘とリンパ節郭清は４時間程度
はかかるはずだ。
しかし大野は、その半分ほどの時間で
完璧な手術をやってのけていた。
VIPがここで治療を受けるのも納得だ。
短時間で手術を終えられるという事は、
体にかかる負担もそれだけ少なく済む。
外部に情報が漏れることなく、
これだけ高度な治療を受けられるなら、
大金を払ってでも、ここで
治療を受けたいと思う者は多いだろう。
大野はガウンを首元から破って脱ぎ、
手袋とともにゴミ箱に放り込むと、
こきこきと首を鳴らしながら
櫻井に近づいてきた。
櫻井も慌ててガウンと手袋を脱ぐ。
「お疲れさん。どうだった？」
「疲れました。けど、……感動しました」
櫻井は素直に自分の気持ちを口に出す。
「これがうちのクリニックの『売り』だ。
絶対に情報を漏らすことなく、
高いレベルの医療を提供する。
雅紀も松潤もニノも、全員が
各々の専門分野で超一流の腕を持っている」
大野は得意げに言うと、
「まあ、みんな一癖あるけどな」
と付け足した。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
