__ ページ11
・
扉の奥には短い廊下が延び、
突き当たりにエレベーターがあった。
やけに奥行のあるエレベーターに乗ると、
大野は『B2F』から『5』まである
ボタンのうち『4』を押す。
「……4階に何があるんですか？」
櫻井が訊ねると、大野は楽しげに
「仕事だよ」と答えた。
エレベーターが停止してドアが開く。
真っ白なリノリウム製の床が
数メートル延び、その先に鉄製の扉が
あった。
扉の前には洗面台が並んでいる。
「……オペルーム？」
櫻井の口から無意識にその言葉が漏れる。
「そうだよ。
この4階がオペルームとオペ後の
患者を診るためのリカバリールーム。
3階が簡単な処置や一時的な入院を
行うための部屋、
そして2階が外来スペースだ。
ああ、ここで靴を脱いでスリッパに
履き替えてくれ。ここから先は
クリーンエリアだから」
大野はエレベーターを出てすぐのところで
革靴を脱ぐと、すぐ脇にある靴棚から
スリッパを2足取り出し、
そのうち1足を櫻井に渡してきた。
「それじゃあ、
とりあえず着替えるとするか」
呆然としている櫻井に声をかけると、
大野はすぐ右手にあるドアを開ける。
「あの、もしかして、
このビルが病院なんですか？」
櫻井は大野とともに部屋に入る。
中はロッカーが
5つ並んだ狭い空間だった。
「それは正確じゃないな。
この国では『病院』は20床以上の病床を
もつ医療施設のことを言う。
ここには入院病床はないから、
『医院』または『クリニック』だね」
大野は櫻井は向かって、
ロッカーから取り出した薄緑色の
手術着を放る。
「クリニックって……。
でも、看板も出てなかったじゃないですか」
「看板なんてあったら困るんだ。
ここは特殊なクリニックだから」
「特殊ってどういうことですか？」
脳内を満たす疑問を少しでも解消しようと
櫻井は質問を重ねていく。
脱いだジャケットを
ロッカーの中にしまいながら、
大野は唇の片端を上げると、
いたずらっぽい笑みを浮かべた。
「すぐに説明してあげるよ。
それより君も着替えなって」
大野はシャツを脱ぐ。
その下から現れた裸の上半身を見て
櫻井は目を大きくした。
大きく広がった広背筋、
盛り上がった大胸筋、
6つに割れた腹筋。
それらが皮膚の上に
筋を浮かび上がらせていた。
はじめて見た時から
体格がいい男だとは思っていたが、
ここまでとは……。
櫻井は唖然とする。
ボディビルディングのように、
ただ筋肉を大きくすることを
目的とした体じゃない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 756人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
