039 ページ39
.
温め直してまだ暖かいクッキーを袋に詰めていく。彼は手先が器用なのか、綺麗にラッピングが施されていった。なんでそんなに上手なの？と聞くと、わかんないと返されてしまった
｢ありがとう、帰ったらすぐ渡すわ｣
『そうして。美味しいって言って貰えたらいいね！』
｢うん｣
気づけば夜になっていた。母親が帰宅して、もうこんな時間なのかと時計を見た。それから、もう帰るな、と言ったジョングクを玄関まで送ると、私の家を外からじっと見たあと暫くして彼は街灯に溶けていった
何かおかしいことでもあったかと私も彼が去ったあと家を見たが何もおかしいとこなどなく、なんら変わらない普通の家だ。彼は何を見ていたのか、私には分からない
『なんかなぁ...』
まだ小さく見えるジョングクの背中に夜は似合わなかった
▽
週明け月曜日、LHRでやったのは、大好きな両親に手紙を書こうというものだった。高校生にもなってこんな恥ずかしいことをしないといけないのかと思ったのだが、先生曰く、高校生だからこそだと胸を張って話していた
『特に書くことない...』
まぁ先生の言うこともわかる気がする。小中では手のかかる子供でも、高校になった瞬間両親と関わることが少なくなるという話も聞く。教室を見渡すと真剣に書いてる子もいれば、友達と話して全く興味を示してない子もいるし、私みたいに行き詰まる子もいた
LHRの内容はどのクラスも同じだと聞いた。じゃあ彼も今書いているのだろうか。両親への手紙を
『.....』
お母さんのこと大事にしてるみたいだったし、もしかしたらたくさん綴ってるのかもしれない。その日、お昼休みになり、ジョングクの元へ言って今日の話を聞くと予想通りだった
｢2枚半書いた｣
『え、すごいね。私1枚が限界だったよ...』
｢ご飯作ってくれるし、洗濯もしてくれるじゃん。感謝すること多い｣
『それ以外に思いつかないよ』
産んでくれてありがとう、それも最大の感謝だろとその時真剣に彼は言ったのだ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Labia(プロフ) - １ちゃんさん» ありがとうございます。 更新致しましたので、是非見ていってください^ ^ (2020年8月18日 19時) (
レス) id: d89ca10c87 (このIDを非表示/違反報告)
１ちゃん - あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"（泣）更新楽しみにしてます…（泣） (2020年8月13日 7時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
Labia(プロフ) - 1チャンさん» ありがとうございます！もっと1チャンさんをそのような気持ちにできるよう書いていきますね...！更新お待たせしないよう、頑張っていきます^ ^ これからも、『おやすみわたしの愛しき太陽』をよろしくお願いします！ (2020年7月13日 19時) (レス) id: d89ca10c87 (このIDを非表示/違反報告)
1チャン - Labiaさん» 読んでいてとても心が綺麗な気持ちになります（泣）更新楽しみにしてます！ (2020年7月12日 14時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
Labia(プロフ) - なむさんさん» 文章が綺麗...嬉しすぎるお言葉ですね(;_;)私がお話を作るにあたって意識している部分です。素敵な作品と言っていただいて恐縮です！私の想像で出来上がった物語ですか更に素敵な作品だったと思っていただけるように頑張ります！素晴らしいコメントありがとうございます (2020年6月14日 2時) (レス) id: d89ca10c87 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：iris | 作成日時：2020年5月13日 6時
