【ゴールデンカムイ】兵器な彼女【尾形百之助】 (ページ8)

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8話。ページ8

Aside

『重くないですか』

｢俺は兵士だぞ。こんなの大したことない｣

無言のまま、雪道をブーツが踏みしめる音だけが響く。彼の首元はすっかり冷えきっていた。

｢とりあえず、あそこのホテルに泊まる。お前の傷の処置が終わってからこれからの流れを話す｣

尾形上等兵が指さした先には、小さな洋館のようなホテルが建っていた。
ドアを開けると、気前の良さそうな中年の夫人とご主人がいた。

｢あらいらっしゃい。夫婦で旅行ですか？｣

『ふっ、夫婦！？』

｢まあそんなところだ。部屋はいくつ空いてる？｣

｢生憎部屋が埋まってて一部屋しか用意できなくって...けど、夫婦なら問題ないだろう？安くしとくから、泊まっておくれ｣

尾形上等兵は女将から鍵を受け取り、部屋へと向かった。部屋に入ると、私をベッドに降ろして何やらポケットを漁っている。

｢...あった。｣

彼の手に握られているのは、モルヒネと注射器。
なんでそんなものを彼が持っているんだろう。

『そ、それ、なんで尾形上等兵が...』

｢二階堂から盗んできた。こんなこともあるかと思ってな｣

彼は手際よくそれを準備して、指で注射器の筒を軽く叩くと私の腹を捲って寝かせる。

『ちょ、待ってくださ、心の準備がっ...』