【ゴールデンカムイ】兵器な彼女【尾形百之助】 (ページ14)

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14話。ページ14

Aside

『ここです、ここが江渡貝剥製所です』

少し遠くから見えるその家は、緑色の、まるで西欧の話に出てくるような可愛らしい家だった。

｢景気づけに前山をやっとくか｣

『戦友だったんじゃ？私がやりましょうか』

｢ただの反乱分子だ。気にする必要は無い｣

彼はまるで、射的で遊ぶ子どものように、何も思わず前山さんを撃った。双眼鏡を取り出して確認する。

『う～ん.....死んでますね。さすがです。...あ、あれが江渡貝弥作...？私たちに気づきました』

｢じゃあそろそろ行こう。早く行かなければ逃げられてしまう｣

『はい。でも気をつけてください。まだ月島軍曹を確認してません。背後から来る可能性だってあります。さすがに私でも、あなたの後ろまでは守れませんから』

｢お前な、俺は大丈夫だ。これでも203高地に行ったんだ。それより自分の身を守ってくれ｣

『いやです、尾形上等兵が死んだら私も死ぬ！』

｢ほんとに可愛いやつだな｣

彼は私の言葉を聞き、満足気に頬を撫でてくれた。
尾形上等兵の手は、暖かくて大きくて大好きだ。

ドアを蹴り破って中に入る。部屋の中には剥製がたくさんあって、しかも動き出しそう。彼は本当に腕の良い剥製屋なんだとわかった。

『こっちはどうでしょう.....うわ、なにこれ』

別のドアを開けてみると、そこには人間の剥製が。そして鶴見中尉に似た人形も置いてあった。

『江渡貝さんも鶴見中尉にぞっこん...鯉登少尉も！宇佐美さんも！鶴見中尉って男の人から見たらそんなに魅力的なのかしら』

｢まあ.....俺もあの人は人を惹きつける才能があると思うな.....ん？おい、このシロクマの剥製、子どもの剥製もなかったか？｣

さっきの部屋を覗いた尾形上等兵はそう私に聞いてきた。見てみると、確かにシロクマの子どもの剥製がない。

『逃げられちゃいましたね』

そう呟いたと同時に、何か下から動くもの。はっとして尾形上等兵の前に出ると、月島軍曹が銃剣を突き刺そうとしてきた。それは私のピストルの指を入れる穴に刺さり、そのまま柱にまで刺さった。

『ふっ』

月島軍曹の腹に蹴りを入れる。吹っ飛んだ彼の上に跨って剣を刺そうとするが、さすがだ。やっぱり男の力には勝てない。押し返されてしまった。

｢俺は女を傷つけて喜ぶ趣味はない...このまま引き下がって欲しいんだがな｣