【ゴールデンカムイ】兵器な彼女【尾形百之助】 (ページ12)

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12話。ページ12

Aside

刺青人皮を持って宿へ帰る。
腹の傷は、今朝打った注射のおかげが、ほとんど痛まなかった。

『よかったですね。これで土方歳三と手を組めるんじゃないですか？』

｢お前、どうして俺が金塊探しにこだわっているかは聞かないんだな｣

『尾形上等兵が選んだことなんだから、私が口を挟むことではないです』

少し素っ気なく返すと、彼はそれに気づいてか切り込んできた。

｢なんだ？怒ってるのか。さっき俺がお前のこと怖いって言ったこと、怒ってるんだろ｣

『なっ.....違います！』

｢図星じゃねぇか｣

そう言うと彼は、ふーっと息を着き、笑いながら血の着いた手を顔に添え、指で頬をなぞった。

『.....血がつきます』

｢の割には嬉しそうだな、俺の番犬ちゃん｣

『.....』

にやにやする彼を無視して小走りで宿へ帰ると、2人の男が立っていた。70代くらいだろうか。見てすぐピンと来た。この貫禄、土方歳三と永倉新八だろう。

尾形上等兵の前に立って拳銃を手に持つと、土方歳三が笑った。

｢こんな可愛らしいお嬢さんまで金塊を狙っているかんて、世も末だな｣

『...なぜここに？』

｢おふたりさんが、刺青人皮を持ち出したという噂を聞いたんだよ。｣

尾形上等兵を見ると、いつもの癖が髪を撫で付け一息吐いた。

｢さすが、情報が早いな。...どうだい、腕の立つ用心棒はいらねぇかい。俺は自慢じゃねぇが射撃が得意だ。203高地にも行ってる。コイツもそうだ。｣

｢へえ、女で戦争に行った上、帰ってきたのかい。そんな英雄がフランスにもいたな。...いいだろう、お前らを買う。ついてこい｣

2人について行くと、大きな家についた。
警戒しながら入ると、ごついはんぺんみたいなおじさんと、若い美しいな女性が1人。彼女は怪我をしているようだった。

｢あら、随分綺麗なお嬢さんが来たのね。いらっしゃい｣

｢ほう.....まだ青臭いが、歳を取れば色気が出そうだ｣

『.....』

｢そんなにムッとするな。これからコイツらとやってくんだから愛想良くしろ｣

『尾形上等兵こそ、いつもの無愛想やめてくださいよ』

そう返してやると、彼は笑いながら、｢俺はいつでも愛想が良い｣なんて言った。変な冗談はやめてください。