昨日の約束

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「･･･・・・っ！」
「･･･、宏光…行くな」


そんな俺と玉森を藤ヶ谷はまた追いかけてくれたようで、再び腕が伸びてきて藤ヶ谷に左腕を掴まれる。
どうして･･･
あの頃とは、違うのに。
どうして･･･
追いかけてくれるの？
藤ヶ谷も、もしかして…まだ約束覚えてくれてる？



・・・それでも、先程の女の子の残像が拭えない。
心がモヤモヤする。
贅沢って罵られてもいいよ。



求めてくれてると思える時もあるけど、
ほかの人を求めてるんだろうと思う時もある。
俺は一番がいい。
オンリーワンがいい。
一番固執していたことだった。



再会して間もないからわからないけど…



俺だけを想ってくれる人がいい。
駆け引きなんて、いらない。
わがままでも、そう思う。


自分の気持ちも伝えないで、
伝える勇気もないくせに。

何でこんな風に相手に求めてしまうのだろう。
求めるから、求められる。


ギブアンドテイクなのに。
そんな大切なことを忘れていた。


愛されたくて。
ずっと愛してて、一方通行の想いをずっと抱いていて疲れたのかもしれない。


再会という夢だったものが現実になり
目が覚めたのかもしれない。


藤ヶ谷のことも、自分のことも信じられなかった。


そんな藤ヶ谷の手を払い、玉森が俺の肩を抱き寄せ歩きだした。


好きだよ。でも･･･
怖い。答えを知るのが。
怖い。



「待っててって言ったのに」


後ろでそう藤ヶ谷が下を向いて呟いたのを。
戻っていったのを知らず。


俺は玉森と玉森の家へ向かってしまった。



「･･･あんまり、藤ヶ谷と関わらないで」
「･･･うん、」
「それがミツのためだから」


俺のため、
傷つかないため？


「わかってるって。いつも心配ばかりかけてごめん」
「心配するのがオレの役目だから」


傷つかない恋。
安全な恋。
恋で傷つかないに越したことはない。


でも、きっと。
"好き"じゃないと傷つくこともできないんだろう。



「オレはミツのこと一番に考えてるし、ミツのことを絶対に傷つけない」
「･･･ありがとう、玉ちゃん」


俺は多分...
玉森から傷つけられることはない。
それは･･･きっと。
玉森が優しいんじゃなくて。



「好きだよ、ミツ」
「･･･うん、」


こっち側の問題・・・


二人で夜道を手を繋いで歩いても全く何も感じない、


俺の問題だ。

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