あべこべ君【僕のヒーローアカデミア】【男主】 (ページ47)

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矜持ページ47

生徒を守る

その一心で霞む意識を引き戻したが、俺の頭は再び地面に打ち付けられようとしている。痛みには強い方だが、流石に堪える。いやもう痛みなどとうに通り越しているんだろう。一回も二回も変わらない。だが、次に同じ衝撃が加われば……

覚悟を決めた。死を、二度と戻れない沼に押し込まれる覚悟を。

しかし、待ち構えていた衝撃は来ず、何か柔らかいもの……そう、これは布団だ。それもいつも使ってる寝袋の感触ではない、例えるなら、昔パーティーで護衛を任された時に泊まったホテルのベッド。どこまでも沈んでいけるような、俺を押し返さない優しさを感じた。

目の前が暗くなっていく。個性を切ればあいつはまた誰かを手にかけるだろうか。

「シガラキくん待った。気持ちは分かるけど、ここで殺すのは得策じゃない気がするんだ」

……人の気持ちなんか、分からないくせに。よく堂々と嘘をつけるもんだ。

「脳無くんを一旦止めて。無理なら壊す」

「なんだよ…あいつに情でもあんのか？」

「僕が情を持つ人間なら君の誘いは断ってるよ」

やっぱりあの日に接触してたのか。どこまでも分からん奴だ。

もう何も見えない。地面も硬くなった気がする。音だけが聞こえる。声が、あいつの声が聞こえる。

「あーあーボロ雑巾になっちゃってまぁ。ヒーローってのは時にこの世の誰よりもバカだよね〜

なぜか分からないけど、君に死なれちゃ困るんだよ。ショータ」

体が少し温かくなって、そこで意識が完全に落ちた。