あべこべ君【僕のヒーローアカデミア】【男主】 (ページ45)

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「どっちも良いね〜」ページ45

「今回の目玉だっけあれ」

「対オールマイト用に造った。馬鹿力だけが取り柄な奴だ」

「オプションも盛り沢山らしいじゃないか。調整は大変だったろうに」

「誰に聞いた」

「黒霧くんさ」

「あいつ……」

ため息をつきながら視線を滑らせる死柄木。その様子をAが隣で眺める。面の奥では笑っているのが容易に想像できた死柄木は、何を言ってやろうかと言葉を探した。

「じゃあ僕は他を見てくるよ」

「あいつの頭が潰されるのは見たくないか？」

揶揄するような声色で、立ち去ろうとするAを呼び止める。しかしAは歩みを止めない。笑い声で返事を投げた。

「見てどうなるってんだい？」

「……」

近くの倒壊ゾーンに目的を定めたAは、爆発音が聞こえるビルに向かった。瓦礫を軽々と飛び越えて中に入ると、聞き覚えのある声を耳にした。

「何人居んだ！？キリねぇぞ！」

「ッせぇ！！だぁってろ！」

身を隠しながら入口から中を覗き見ると、誰だっけと首を傾げてはゆらりとそこに身を投じた。数が多い中に一人混じった程度ではすぐに気づく者は居なかったが、少しして切島が声を上げる。

「あべこべ君も仲間かよっ！？」

「いちいちうるせぇんだよクソ髪！！」

「だってほら！見ろってあそこ！あんなお面被ってんのあべこべ君しか居ねぇって！」

そんな事は分かっていると叫びそうになるのを抑え、爆豪は近くの敵を数人吹き飛ばした。飛んできた体を押し退け、Aは手を叩いた。場違いな拍手に、その場の誰もが動きを止める。しかしそれもお構い無しに歩みを進め、2人の正面に立つA。

「やぁ良い個性だね。隣の君は体を硬くする事が出来るのかな？どっちも良いね〜」

悪意を一切感じさせない少年の声に、切島は分かりやすく動揺し、爆豪は探るような目を向けた。

「テメーらの目的は何だ」

静かに爆豪が口を開く。

「彼らの目的と僕の目的は違う。今日ここに来たのはオールマイトを殺すためだってさっき聞いたろ？」

「んじゃぶっ飛ばされても文句はねぇな？」

不敵な笑みを浮かべて、爆豪は掌をAに翳した。

「なら僕に手を出されても文句は無いね」

Aは低身長を活かして2人の視界から外れる。すぐさま爆破が襲ってくるが、直撃を避けながら一瞬の隙を突いて切島の腕、爆豪の手の甲に触れた。

「ワンセカンド〜」

楽しそうに告げて、窓から飛び降りた。