「気を悪くさせたなら謝るよ」 ページ4
「脚？別にそのままで良いんじゃない？犯罪者だし、二度と歩けないくらいが丁度いいよ」
カタカタと震える女性を見下ろして言うと、何故か男性は驚いたような顔をして僕の肩を掴んだ。
「…触らないでくれるかな。ごめんよ、少し潔癖症でさ」
「一般人が個性を使う事は禁止されている。そうでなくとも、他人に危害を加えて平然としていられるお前は……何者だ」
「あぁルールがあるんだっけ。気を悪くさせたなら謝るよ、ルールを破った事もね。そのお姉さんの脚は……まぁ仕方ないか。はい」
もう一度指を鳴らすと、骨だけだった女性の脚は、元の肉付きのいい脚に戻った。
「歩けないように足の筋肉を骨格に変えただけだ。もう元通りなはずだから、警察に連れて行くなりしなよ。ちなみに彼女があの店に火を放ったのは確実だから。じゃあね」
となると、次の候補はここから歩いて30分の散髪屋だ。今日は歩かされる日だなぁ…さっさと切って帰ろう。
「待て」
後ろから威圧感たっぷりの声が聞こえる。振り向くと、先程の捕縛布を手に男性が僕を睨んでいた。
「何者だ」
「何者ねぇ……アバウトに答えるなら、どこにでもいる男の子、かな」
「状況説明のためにも一緒に来てもらうぞ」
「やなこった。僕ね、他人に指図されんのホント嫌いなの。分かったらその人警察に連れて行きな。僕に構ってると建物も崩れちゃうよ？」
「！」
男性の視線が逸れた所を見計らって、人混みに紛れて気配を消した。おい！なんて声が聞こえるけど気にしない気にしない。厄介事からは逃げるが吉〜
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ヴィランとはいえ他人に個性を行使した子供。やけに肝が据わってるように見えたが……
〈イレイザー聞いたか？アイツが出たってよ〉
〈あ？〉
〈だーかーら！【あべこべ君】！ここら辺で見たんだとよ〉
「……まさかな」
確か報告されてる情報によれば、身長160前後の子供。ひょっとこの面を被り、パーカーを身につけて現れる。
どこからともなく現れては、長居はせずに去っていく。ヴィランのような立ち回りを見せる時もあれば、ヒーロー側に助太刀するような時もある…………いや、ヒーローの手助けというよりは、ヴィランにちょっかい出してるだけか。
所詮子供、特に危険視はしてこなかったが……
もし、さっきのがそれなら
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年8月17日 12時
