それでも好きになった。③ (ページ3)

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No.103 ページ3

「……姉さんがそんな俺に一度、

もう少し歩み寄れないか尋ねてきたことがあったんだ。

結婚を考えている相手なんだから、

家族の中で一人でもその人を気に入っていなければ

気にするのは当然だ。

でも俺は……そのとき姉さんを軽蔑したよ。

自分を愛していない相手を気がついていないにしろ、

どうして庇おうとするのか理解できなかった。

無理だ――そう言って吐き捨てて姉さんを睨み付けた。

……姉さんはひどく悲しそうな顔をしていたけど、

俺にはもうどうでもよかった。

その日から、

あの男が現れた前々からぎこちなかった形だけの姉弟の関係は、

……破綻したように思う。

――そして、決定的な日が来た」

私達の周りでは対照的に、家族連れでここに来たのか
楽しそうに笑っている子供たちがいた。

それを眺めてから、目黒くんは言う。

「……渡辺から

ここに来るよう俺が頼んだって、聞いたんだよね？」

私は黙って頷く。

「……本当は、ここに来たくなんてなかった」

目黒くんは小さく――

聞こえないくらいの声で呟いて、切なげに笑った。