それでも好きになった。③ (ページ15)

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No.115 ページ15

そう言うと、川波さんはにこっと笑った。

「流石、目黒くん。

ここまで、いつ気付かれるかひやひやしっぱなしだったんだよ？

でも、疑問は持ってはいても私の考えは絶対に
掴めないはずだから、結構自信あった、かな」

ふふっ、と笑う川波さんを複雑な思いで見つめた。

それに気付いているのかいないのか、

川波さんは笑みを崩さない。

「……目黒くんは気付かなかったけど、

これでも私は諦めがいい方なんだよね。

向井がどう見ても、

私に気がないのは分かってたことだったから」

そうして川波さんが語った話の真相はこうだ。

川波さんは、

向井が木ノ下さんに惹かれていることに気付いていた。

そして木ノ下さんが今は自覚こそないにしろ、

じきに俺を好きになるということにも予想がついていたらしい。

……だから

木ノ下さんがたとえ想いを自覚したとしても大丈夫なように、

川波さんは俺と付き合おうと言った。

自分の恋心さえも利用し、

……全て向井のために行ったのだ。