奇妙な程の ページ6
放った煙弾は、ぐにゃぐにゃとした軌道を描きながら巨人に向かって、地面と平行に飛んでいく。
巨人の目元に直撃した。
他の動物と同じで、煙による目元への刺激で痛覚が発動するのかはわからなかったが、視界が悪くなったからか、足は止めることが出来た。
｢上出来だ｣
ザシュッ
大きな音と共に、煙弾の煙を纏った巨人の身体が倒れ込んでくる。
自分の後ろを部下たちの馬が駆け抜けた。
リヴァイはやはり、奇行種も確実に仕留める。
さすが兵士長といったところか。
｢あー、よかった…｣
｢へたり込むのは後だ。上がるぞ｣
｢ゔっ｣
俵を抱えるように担がれ、壁の上へ上がる。
｢ありがと。でももうちょっと持ち方あったと思うんだけど…｣
｢運ばれただけよかったと思え｣
｢あー、今の奇行種ハンジにも見せてあげたかったなぁ。初めて見たよあんな素早いの｣
｢ついにお前も巨人に憧れたようなこと言い出しやがったか。やめとけ。メガネ野郎と仲良く食われて終わりだ｣
リヴァイはそう言いながら、リフトで壁から降りる準備をし始めた。
｢あはは、そうかもね｣
｢実験の途中でどうせバカみてぇにトチるだろ｣
｢今日も辛口だなぁ｣
｢で、どうするんだ｣
｢え？なにが？｣
｢飯だ。お前が言ったんだろうが｣
｢あ、あー！ご飯ね！｣
｢早く乗れ。置いて行くぞ｣
｢ごめんごめん。拗ねないでよ｣
｢拗ねてねぇ｣
普段馬や資材を運んでいるリフトは、ゆっくりと降下を始める。
人ふたりだけで乗り込むと広く感じた。
眼下を覗くと、門を入ってすぐの壁の近くで、部下たちが馬を止めて待っていた。
ふと、隣のリヴァイの顔を見ると、やはりいつも通りの無表情だったが、若干頬が紅潮していて息が上がっている気がする。
あれだけの数の巨人を相手にすれば、さすがのリヴァイも疲れが出るらしい。
｢リヴァイ、疲れた？｣
｢あ？これくらいどうって事ねぇ｣
｢ご飯食べたら回復するかな｣
｢どうって事ねぇって言ってんだろ｣
｢ご飯、誰誘おうか？ハンジとエルヴィンとミケと…ナナバとペトラも誘おうか！そしたらリヴァイもリラックス出来るよね？｣
｢お前は新しい耳をつけた方がいい｣
｢いやぁ、私の耳はまだまだ新品だよ。まだ27年と少ししか使ってない｣
｢十分中古だ｣
｢さすがに怒るよ｣
リフトから見下ろした街の中には、今日も外から戻ってくると奇妙に見える程の日常がある。
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作者名：ぽんぽた | 作成日時：2024年2月1日 14時
