分隊長の手の内は (ページ4)

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初陣の記憶たちページ4

｢バ、バンガー…？プシャァって、なんだよ…プシャ、じゃない、だろ…逃げなきゃいけないのに…｣

目の前に、居たのに。助けられなかった。
バンガーはもう、何も言わない。

｢あぁ…あ………｣

私はやっぱり、無力だ………

脚がミシミシと音を立てる。
骨が砕ける音がする。
みんな、こんな……こんな気分だったのか…

｢A！！！｣
｢あ……｣
｢……っしゃぁあ！！！｣

脚から、全身から、力が抜ける。
足の圧迫感は、鈍い痛みに変わった。

｢おっし、回収！！1体討伐だ…！
A、覚えといてよ！私の初討伐！！｣

すごく聞き覚えのある声だった。
愉快そうな声。馬上の揺れに、脚が痛む。

｢……ハン、ジ…？｣
｢ハンジだよ！ハンジが討伐した！OKOK！このまま走ろう！｣
｢な……んで……｣
｢壊滅って聞いたからだ。君は、きっと生きてると思った｣
｢なんで…壊滅、なのに…｣
｢だって、最後まで握ってるだろう。立体機動をさ。君は、絶対に諦めないから。絶対に、立体機動装置を外さないからさ｣
｢なにそれ……｣
｢実際外してなかったろう？｣
｢………でも…バンガーを…バンガーを、助けられなかった……｣
｢……あぁ、私もだ。生きよう、バンガー達と一緒に｣

ハンジはそのまま、中央陣形に合流すると言った。
仲間の死体を、左翼側の廃村に残したまま。
後ろ向きに抱えられて、巨人達と目が合った。
ハンジに抱えられて、救われて、ほっとしている自分に、激しい憎悪を抱いた。