最高に応援したい ページ24
｢ハンジ、探したよ｣
｢A！どうしたんだい？ノックくらいしてよ｣
｢ハンジに言われたくないね。私の部屋来る時ノックなんてした事ないでしょ｣
私の作業部屋、(第4分隊長執務室とか言うけど、長いので作業部屋でいい)に飛び込んで来たAは、まさに私たちの話題の中心だった。
私はAに見えないように、とっさに本を背後に隠した。
｢誰に聞いても資料室に居るって言うから資料室ぐるぐるしちゃったよ｣
足首を回しながら息をついたAは、呼吸を整えるように腰に両手をついて俯く。
Aの視界から外れている間にリヴァイの様子を確認すると、珍しくソワソワしていて、斜め下を見ながら何かを考え込んでいる様子だった。
もしもAからのプレゼントとやらがあんな意味を持っていたとしたら自分はどうすればいいのかと悩んでいるのだろう。
これは面白いことになってきた。
彼らはいつも小競り合いを繰り返したり、にしてはやけに仲が良かったりと何だか姉弟のような関係だったが、まさかAがリヴァイに好意を寄せている可能性があるなんて。
マゴマゴする2人が見てみたいとかそういう感情もあるが、素直に、最高に応援したい。
｢リヴァイもここに居たんだね。お疲れ様。てか珍しいね？どうしたの？｣
｢ハンジに少し聞きたいことがあってな｣
｢そっか。ご苦労さま。そういえばハンジ、その本なに？｣
｢えっ｣
リヴァイが私を指さしたせいか、Aが私の手の中にある本に気がついてしまった。
言って良いものかどうか…
｢あー…何か、地方によっての微妙な食文化の違いに着目した本で…｣
｢へー！見せて見せて｣
近づいて来たAにあの表を確認していたことを知られないよう、本から栞を引き抜いてAに渡す。
｢2人ともこの話してたの？｣
｢あぁ、そうだ｣
｢リヴァイがこういうのに興味あるって珍しいじゃん。もしかしてどっか行くの？｣
｢そういう訳では無い｣
｢行くならお土産頼もうと思ったのに｣
本をペラペラとめくり始めたAを見て不安を感じていると、リヴァイにふくらはぎを軽く蹴られる。
｢怪しい態度をとるな｣とでも言いたげな視線を感じて、心の中で謝る。
｢そんなことより、用事があって来たんじゃないのかい？｣
｢あ、そうそう｣
Aはいつも持っている、書類や文房具が入った平たくて四角い鞄から何かを取り出した。
｢これ、ハンジに｣
それは緑のリボンが掛かった小包だった。
隣でリヴァイが言葉を失っていた。
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作者名：ぽんぽた | 作成日時：2024年2月1日 14時
