込める意味は ページ23
｢どの本だ｣
｢そこまで思い出せなくて…ちょっと待って、タイトルで思い出すから｣
ハンジの作業部屋には壁の半分以上が埋まる本棚があり、そこにしまい切れない本の山が本棚の反対側に鎮座している。
本棚に入っている本は仕事に関わる本で、他は趣味の物が大半だ。
ハンジは本を次々ひっくり返して本の題名を確認していく。
｢これじゃないな…これか？いやこんな厚く無かった…｣
｢いい加減に本棚を増やせ｣
｢中々買って整理する時間無いんだ…あ！これだ！｣
｢見せろ｣
｢えっと…この辺りか｣
ハンジが開いたページには菓子の種類とその意味がまとめられた表が載っていた。
｢ていうか、突然どうしたの？｣
ハンジにそう訊ねられる。
場合によっては答えない方がいいとは思ったが、エルヴィンとAが俺に何か伝えたいことがあるとすれば、すぐに他の手段を使ってハンジにも伝えるはずだ。
扉が閉まっていることを一応確認してから事情を説明した。
｢…そんな回りくどいことする？｣
｢……まぁ、そうか。だが、それ以外に今こんなものを渡してくる理由が思いつかねぇ｣
｢本人が言ってる通りじゃないのかい？これからもよろしく、ってね｣
流石に考えすぎだったかもしれない。
いつも通り、気まぐれのタイミングが悪かっただけ。
｢でも、意味は気になるね。君、何を貰ったの？｣
｢キャンディーとドーナツと、小さいカップケーキが入っていた｣
｢1つずつ見てみよう。キャンディーは…『あなたが好き・長く続く関係に』…だって｣
｢長く続く関係…｣
｢…Aが言ってた『これからもよろしく』かな？じゃあ次。ドーナツ…｣
｢……オイ、これ合ってるのか？｣
表によると、ドーナツに込める意味は
『あなたが大好き』
｢………｣
｢…リヴァイ？生きてる？｣
｢……あ？あぁ｣
｢…きっと偶然だよ！あの子はそんな器用じゃないだろ？｣
｢カップケーキは｣
｢えっと……『あなたは特別な人』……｣
｢偶然…｣
｢重なりすぎ…｣
｢……いや、いやいや…｣
｢リヴァイ、これがあの子の気持ちという説は…｣
｢…は？｣
｢いや、ちょっと冷静に…あの…思い返してみて…顔が怖い…｣
ハンジに言われ、食堂での会話を再び思い出す。
｢……大切な人と食べろと言われたから君にあげる、って、言ってやがった｣
｢えっ！？ねぇリヴァイ！それってやっぱり…！｣
ハンジが愉快そうな声を上げた瞬間。
バタンッ
突然扉が開いた。
そこには、息を切らしたAが立っていた。
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作者名：ぽんぽた | 作成日時：2024年2月1日 14時
