分隊長の手の内は (ページ2)

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壁外にて、有力。ページ2

｢どうするかな…ねぇ、リヴァイ？｣

目の前には5〜10m級の巨人が合計7体。
最後尾、私たち総員40名の道を阻んでいる。
7体に加え、まだ森から何体か巨人が顔を覗かせていた。

｢どうするも何もねぇだろ。森へ入れ。道を拓く。全員進ませろ｣

真隣で馬に乗っていた同僚は、そう言って森の木へ飛んでしまった。

｢あ！？ちょっと！馬が！｣
｢お前の部下に預けさせろ！｣

腰から伸びたワイヤで木から木へ、器用に飛び移っていく。
まるでリスのようだった。
そう思うのは何度目か。
以前本人に言ったら無言の張り手を食らった。

｢あー、もー……しょうがない…総員全速前進！！｣
｢前進！？無茶です！あんな巨人の群れの中を！！｣
他分隊の団員が叫んだ。

この最後尾は私の分隊とリヴァイたち精鋭部隊で構成されていたが、何名か他分隊とはぐれて生き残った者も含まれている。私の分隊は別名｢特攻部隊｣と呼ばれていて、私の突然の指示に慣れているが、他分隊の隊員なら私の指示をすぐに受け入れられないのも無理もない。
しかしここでのルールは私たちの判断だ。
これが最善策だと、リヴァイが取り仕切って、私はそれに乗った。
絶対に成功させる。

｢巨人の相手は私とリヴァイが引き受ける！お前たちは戦闘を避けて壁まで走れ！兵士長と私を信じろ！信じられない者は私に着いて森へ入れ！一体でも多く巨人を仕留めろ！わかったやつは行動に移せ！｣

全員の顔を見回す。
覚悟は決まっているようだった。
私たちや周りの団員に、命を預ける覚悟だ。

｢ナル。私とリヴァイの馬、頼むね｣
｢わかりました｣
｢ランス、刃2本ちょうだい｣
｢後で直接返してくださいよ。生きて帰ってください｣
｢私が生きて帰ってこなかったことがあるかい？｣
｢馬鹿なこと言ってないでさっさと終わらせてくださいよ｣
｢アリス、さすがに酷くない？今から死地に向かおうとしてる人に｣
｢壁外はどこも、死地ですから｣
｢…そりゃそうか｣

ランスから刃を2本受け取って腰元にセットして、進行方向を振り返る。
リヴァイはもう戦闘を始めていた。
もう2体撃破している。

｢オイ！早くしろ分隊長！壁外に出てもアホのままなのか！？｣
｢わかってるよ！そんなに急かすなんて寂しいのかなリヴァイ君！｣
｢喧嘩なら後で買ってやる！｣
｢そっちが売ったんだよ！総員前進！駆け抜けろ！！｣

リヴァイに促されて馬から飛び降りる。
木の枝にワイヤを掛けて進んだ。

私はもう、無力な私では無い。