【中原中也】猫被り彼氏をぶん殴る。【文スト】

暴言二十四 ページ31

『第一、お前私がいないとダメなんだから
そんな奴見棄てられないでしょ』






「思い上がってンじゃねェぞ糞女」







『泣きそうになってた奴が何云ってンの』






だからさっさと帰るよ、と立ち上がれば、ゆっくりと中也も立ち上がる。
ついてくる気配を感じつつ先を歩いていると、中也が急に立ち止まった。







『どーしたの』







俯いてるので近寄って顔を覗き込む。やっべどんな顔してるかよく見えない

小さく口を開いた中也は、逡巡するような様子を見せて口を閉じ、意を決したように再び口を開いた。






「俺の、こと
どう思ってる」







『面倒臭い奴だなって思ってる
勝手に色任務受けて勝手に気に病んで八つ当たりしてきて』






うっと言葉を詰まらせる中也。ざまあ見やがれ。







『罵倒ばっかしてくるし、無駄にキザだし、腹立つことするし』






「……」







『でも好きになっちゃったんだから、しょうがないじゃん』






鳩が豆鉄砲食らったような顔をする帽子男。
漸く顔を上げたから目を合わせて云ってやる。







『好きになっちゃったから、お前が私を怒らせてばっかでも、色任務受けてても見棄てられないんでしょうが』






段々恥ずかしくなり顔が熱くなってきたから、察しろ莫迦と云って話を区切った。






「……っは、Aどんだけ俺のこと好きなンだよ」







『うるっっせ莫ーー迦！！調子こくな！！！』








へにゃ、と笑う莫迦に心臓が高鳴る。お前そんな顔出来たのかよ……！！！






「な、もう1回云ってくれや」






『誰が云うか呆け！！』






「もう1回、もう1回だけだからよ」






駄目か？と顔を覗き込まれ息が詰まる。この野郎顔がいいからって調子こいて…！







『……〜〜〜〜っ、あ"ーもう！
す、好きだよ大好き！！大好きだよ莫っ』






ふっと視界をおおった中也の顔。抑えられた後頭部と唇の柔らかい感触に、何が起こったかを一拍おいて理解した。



ゆっくりと中也の顔が離れてく。……こっっっのキザ男……！！！






「……おう、俺も」





愛してる、なんて惚けた顔で云うものだから。

顔どころか全身が沸騰してるみたいに熱くなる。発火しそうだ。






『……愛してるとは云ってない莫迦』






頭に来たので腹パンしようとすれば、その手を掴まれて繋がれた。だからキザ男！！！


その後、中原家でずっと戸惑ってた敦くんに2人で謝り倒したのは企業秘密ってことで。

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