ヒカリ ページ41
北人
美月さんは、子供のように泣いていた。
しがみついて、大声で。
このような姿ははじめてだった。
いつも、優しいお姉さんみたいに接してくれて、
考え方も大人で、弱い部分なんて見せてくれなかったから。
僕だけが今、この人のそばにいて、
この人のその部分を知っている。
『死にたくないっ、…』
そう必死に伝えて数時間が経った。
彼女は、息を整えて僕から離れた。
『…ごめんね、こんな惨めで、大声で泣いちゃって、…Tシャツも、汚しちゃって…。部屋もめちゃくちゃだし、…』
北人『全然大丈夫ですよ！』
『ありがとうね、北人くん。だいぶ軽くなった。
…あ、なんか飲む？コーヒーくらいしかないけど…。』
そう言って、ソファーから離れてキッチンの方へ向かう彼女の後ろ姿が、そう言うよりも、消えてしまいそうで、怖くなって、…後ろから抱きしめた。
『おっ、びっくりした…。なんか、今日抱きしめられてばっかだなぁー…笑…』
北人『僕、美月さんのことが好きです。』
『うん、知ってるよ。』
北人『え、っ？』
『でも、付き合えない。…気持ちは嬉しいけど、』
北人『どうして、ですか？』
『わかるでしょ？…わかってほしい…
私には、時間がない、その時間を北人くんの無駄にさせたくないの。…ありがとう。』
北人『そんなの、分かってます。覚悟の上です。
僕、美月を守ると決めたんです。美月さんの隣で。時間の無駄？…そんなの、全然無駄じゃないです。ずっと、そばにいます。』
『私、話せなくなるかもしれないよ？』
北人『なら、声になります。』
『私、歩けなくなるかもしれないよ？』
北人『なら、足になります。』
『もうすぐ、死んじゃうよ？』
北人『わかってます。…一緒にいます。』
『北人くん、』
そう言って、抱きしめられて、
『私も好き。』
今度は、キスをした。
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吉 野 み ゆ - やばいです、途中泣きそうになりました更新頑張ってください (2020年4月25日 0時) (
レス) id: 9f418f690e (このIDを非表示/違反報告)
yuki - このお話めちゃめちゃ好きです！更新楽しみにしてます！！ (2019年11月4日 22時) (レス) id: 20390036ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エル | 作成日時：2019年9月10日 19時
