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少しの沈黙が流れた。



でもそれは、不思議と心地が良いものだった。



DO「…もちろん、僕も好きだよ。」



ゆっくりと時間が流れるように感じた。



私が望んでいた答えをいざ目の前で出されると、案外どうしていいか分からなくなる。



でも、私が声を出す代わりに流れる涙が答えてくれているようだった。



DO「…ふふっ、意外とAは泣き虫なんだね。」



私の泣き顔を見て笑ったギョンス。



「…ギョンスも、笑うと可愛い。」



カサついた唇が妙に色っぽくて、おもわず唇を寄せた。



目を瞑って、ギョンスから与えられる感触に神経を集中させる。



時折控えめな水音が響いて、それが余計に気分を高めさせた。



「っ…、はぁ、」



酸素を求めて唇を離す。



ギョンスは私を見下ろして、柔らかい表情をした。



DO「…こうもしてられないね。僕も収容所から逃げ出して来たし、二人とも行く宛がないな。」



少し困ったように呟いた。



「そうだね。…でも、ギョンスが居るだけで十分だよ。」



やっぱり私は贅沢だ。



好きな人と想いが通じあって、これからずっと一緒に居られるのだから。



DO「僕も、Aが居るだけでいい。…明日、この国を出て僕の母国に行こう。今日は暗いし、すぐ近くで小屋が見つかったから一晩そこで過ごそう。」



そっと私の頭を撫でて、ぎゅっと抱き締めると手を繋いで歩き出した。



明るい月明かりに、二人の影が伸びていた。



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ギョンスが言っていた通り、二人で過ごすには窮屈な小屋。



木のテーブルと小さな椅子と、布がかけられただけのベッド。



DO「ごめんね。お世辞にも綺麗とは言えない狭い小屋で。宮殿とは比べ物にならないでしょ。」



ギョンスは申し訳なさそうに呟いて、埃や砂を払ってくれた。



「そんな事気にしなくていいのに。それに何だか新鮮だし。」



恐らく国民たちも、その日暮しで苦しい思いをしている。



私が贅沢だっただけで、このくらい普通だ。



DO「…美しい姫君がこんな小屋にいるの、何か不思議だね。」



ギョンスはじっと私を見つめて言った。



「私、もう姫じゃないよ。」



ドレスや宝石は煌びやかだけれど、これも今となっては邪魔なだけだ。



…これ、売れば少しはお金になるかな。



DO「もう今日は寝よう。僕は椅子で寝るから、ベッドどうぞ。」



「そんな、悪いよ。ギョンスこそ疲れてるでしょう?ベッド使って。」



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ぼぷぴ(プロフ) - 貴方様が書くお話、本当に面白いです…!!今回のギョンスのお話も最高でした…いろんな意味でドキドキが止まりませんでした!!これからも応援しています! (2020年3月24日 16時) (レス) id: eb25947e96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう。(プロフ) - 1話1話がすごく読み応えがあって面白いです。シウミンさんの物語とスホさんの物語が個人的にすごく好きです。これからも作者さんのペースで更新して頂けるとうれしいです。 (2020年3月17日 3時) (レス) id: 622a208a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 今日初めてこの小説を見つけたのですが、とてもハマって一気に読んじゃいました。どれも狂気的で特にセフンくんのは結末に鳥肌がたちました。すごく面白かったです。これからも頑張ってください! (2020年2月27日 1時) (レス) id: d5ef40128c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:nel_ | 作成日時:2020年2月2日 1時

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