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そんな、いきなり居なくなるなんて狡い。
少し甘い柑橘系の香りと体温を残して、私の初めての口付けを奪っておいて消えるなんて。
どうしてもギョンスの事を考えずに居られないじゃないか。
「…バカ、」
こんなにも胸が締め付けられるのは何故だろう。
こんな気持ちは初めてで、どうしたらいいかわからない。
JI「姫!どこにいらしたんですか…、心配しました。」
「ジョンイン王子…、迷惑をかけてしまってごめんなさい。」
JI「ちゃんと見てなかった私も悪いですけど、姫も気をつけてくださいね?…国内も、安全とは言いきれないですから。」
少し悲しそうにジョンイン王子は言った。
もしこの戦争が無かったら、ここまで深刻に考えなくても良かった問題だ。
外国との関係もあるだろうけど、最終的な決断を下したのは父。
…少しだけ、父の事が嫌いになったのは胸の内にしまっておこう。
こんな事誰にも言えない。
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大きなお皿に色とりどりの野菜。
柔らかいお肉を口に運んで、家族みんなで食卓を囲む。
「チャニョラ、お前ももうすぐ国王だからな。しっかり勉強するんだぞ。」
父はワインを味わいながら、チャニョリオッパの方を見て目を細めた。
CY「はい、お父様。…次の戦略を考えたのですが、この後お時間宜しいですか?」
オッパは皇太子でありながら軍師としても名高いから、みんなからの期待も大きい。
「チャニョリは頭がいいから助かる。頼むよ。」
特に父はチャニョリオッパをとても信用しているし、戦略は全部オッパ任せらしい。
…そっか、その手があった。
オッパを説得して、捕虜の解放をオッパから父に頼めば聞いてくれるかも。
そもそも父が女である私の言うことなんて聞くはずなかったんだ。
でも、オッパが言うことなら耳を傾けてくれる。
私は早速チャニョリオッパを説得する為の理由を考えた。
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長い廊下に長い影。
あんなにも身長がある人はオッパしかいないから見つけるのが楽で助かる。
父と母の身長は普通くらいで私は女性としては小さいくらいなのに、オッパだけ大きいから不思議だ。
「チャニョリオッパ!」
CY「A、どうしたの?」
こっちに振り返って、大きな目をさらに見開いて問いかける。
「あのね、相談があるの。」
まずはオッパを説得しないと、ギョンスを助けれない。
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ぼぷぴ(プロフ) - 貴方様が書くお話、本当に面白いです…!!今回のギョンスのお話も最高でした…いろんな意味でドキドキが止まりませんでした!!これからも応援しています! (2020年3月24日 16時) (レス) id: eb25947e96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう。(プロフ) - 1話1話がすごく読み応えがあって面白いです。シウミンさんの物語とスホさんの物語が個人的にすごく好きです。これからも作者さんのペースで更新して頂けるとうれしいです。 (2020年3月17日 3時) (レス) id: 622a208a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 今日初めてこの小説を見つけたのですが、とてもハマって一気に読んじゃいました。どれも狂気的で特にセフンくんのは結末に鳥肌がたちました。すごく面白かったです。これからも頑張ってください! (2020年2月27日 1時) (レス) id: d5ef40128c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nel_ | 作成日時:2020年2月2日 1時