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産まれてからずっと、綺麗なものだけを見て生きてきた。



周りの人には大切にされて、愛されて、これ以上ないくらい幸せだった。



幼い頃、好奇心から初めて宮殿を抜け出して街に出たことがある。



その頃にはもう戦況も酷く、経済も不安定でみんな貧しかった。



何も知らなかった私は、どうして国民たちの服や家はボロボロなんだろうと思った。



ただあの時の街の人の私を見る目が忘れられない。



恨めしそうで、憎んでいるようで、今まで私が受けてきたものとは全く違った。



みんな私に手出しや口出しはしなかったけれど、何か目で訴えるような雰囲気に恐怖を覚えた。



それから私も成長して、歴史や政治の事を学んでいくうちに罪悪感が芽生えた。



それはどんどん育っていって、私の心にずっと居座っている。



…彼。



…ギョンスは、今何をしているんだろう。



私がまた無駄に過ごしている一日を、ギョンスは必死に生きようとしているのだろうか。



絢爛豪華な宮殿の一室で、甘い紅茶を飲みながら考える事じゃないだろうけれど。



でも、何もしないのは嫌だ。



父に言うだけ言ってみよう。



…バカな娘だと思われるだろうか。



敵兵の味方をするなんて王族としてあってはならないし、もしかしたらもっと酷い事を言われるかも。



ちょうど会議を終えて帰ってきた父を出迎えようと、私は紅茶を置いて父の元へ向かった。



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疲れた様子の父親は、ジャケットを脱ぐとすぐに書斎に入り椅子に座った。



「お父様、おかえりなさい。少しお話があるの。」



「あぁ、ただいま。なんだ?」



すぐに机に置かれていた資料に目を通し始めた父は、私の話なんて聞く気がないようで端的に終わらせるように促す。



「…今回の戦争で捕らえた捕虜を解放して欲しい。」



ぴく、と父親の眉毛が動いて、ゆっくりとこちらを見る。



スローモーションのように行われたそれは、私に緊張感を与えるのには十分だった。



「…ははっ、勉強のし過ぎで疲れているんじゃないか?もう寝なさい。きっといい夢を見れるよ。」



父は突然あっけらかんと笑って、私に部屋に戻るように言った。



予想外の反応に少しびっくりしたけれど、これで私が相手にすらされないことが証明されてしまった。



…そうだよね、子供の言うことなんて誰も聞く耳を持たないわ。



私は憂鬱な気持ちのままベッドに身体を沈めた。



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ぼぷぴ(プロフ) - 貴方様が書くお話、本当に面白いです…!!今回のギョンスのお話も最高でした…いろんな意味でドキドキが止まりませんでした!!これからも応援しています! (2020年3月24日 16時) (レス) id: eb25947e96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう。(プロフ) - 1話1話がすごく読み応えがあって面白いです。シウミンさんの物語とスホさんの物語が個人的にすごく好きです。これからも作者さんのペースで更新して頂けるとうれしいです。 (2020年3月17日 3時) (レス) id: 622a208a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 今日初めてこの小説を見つけたのですが、とてもハマって一気に読んじゃいました。どれも狂気的で特にセフンくんのは結末に鳥肌がたちました。すごく面白かったです。これからも頑張ってください! (2020年2月27日 1時) (レス) id: d5ef40128c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:nel_ | 作成日時:2020年2月2日 1時

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