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「…ミンソク先輩には関係ないです、」
お酒の力も借りて、勢いで言ってしまった。
思いっきり目は逸らしてるし、声は震えてるし何の仕返しにもなっていないけれど。
MS「…ふぅん、じゃあ今から付き合え。」
「へ、」
強引に腕を引っ張られて慌ててついて行く。
エレベーターを下がってロビーを歩くと、ミンソク先輩は振り返って私に言い放った。
MS「いいか、俺のいない所で勝手なマネはするな。全部俺の許可を取ってから行動しろ。わかったな。」
「なっ…、」
MS「あんなミスをしておいて口答えするのか?」
…勝手なマネはどっちよ、と突っ込みたい所だけれど。
こんな状況で言い返せる人が居たら会いたいくらい。
とにかく私はミンソク先輩の言うことを聞いて、大人しく返事をして従っていればいいみたい。
…はぁ、手がかかるとか邪魔だとか言うなら放っておいてよ。
「…わかりました。」
私を見下ろしていたミンソク先輩はすぐに向きを変えて、すたすたと歩いて行く。
会社の目の前の道路でタクシーを捕まえると、私を押し込んだ。
そして運転手に行き先を伝えると、すぐに目を瞑って寝る体勢に入ってる。
「…あの、」
MS「…うるさい。黙ってろ。」
…人間ってこうも人に冷たく出来るんだ。
どこに行くのかとかどうしてなのかとか、聴きたいことは山ほどあるのに。
…それにしても、こうして黙って見てれば本当に綺麗な顔してるなぁ。
普段はじっくりミンソク先輩のお顔を"拝見"出来ないからね。
あ、寝てるのに眉間にシワよってる。
本当に、もっとニコニコしてればいいのになぁ。
MS「何ジロジロ見てるんだ。」
「えっ、すみません、」
嘘、この人目瞑ってたよね?
…何でも見透かしてしまう彼に驚いていると、着信音がタクシー内に鳴り響く。
このタイミングで私に電話掛けてきても出れる訳ないでしょう…なんて思いながら着信を切ろうとした。
MS「出てもいいぞ。俺寝てるし。」
意外な言葉に戸惑いながら、喋ってる時点で寝てないじゃん、という突っ込みをしたい衝動に駆られる。
…いや、そんな事は置いておいて出てもいいなら出るか…。
「ありがとうございます、」
何だか恥ずかしいと思いつつ着信の主を確認すると、画面には"キムジュンミョン"の文字が示されていた。
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ぼぷぴ(プロフ) - 貴方様が書くお話、本当に面白いです…!!今回のギョンスのお話も最高でした…いろんな意味でドキドキが止まりませんでした!!これからも応援しています! (2020年3月24日 16時) (レス) id: eb25947e96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう。(プロフ) - 1話1話がすごく読み応えがあって面白いです。シウミンさんの物語とスホさんの物語が個人的にすごく好きです。これからも作者さんのペースで更新して頂けるとうれしいです。 (2020年3月17日 3時) (レス) id: 622a208a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 今日初めてこの小説を見つけたのですが、とてもハマって一気に読んじゃいました。どれも狂気的で特にセフンくんのは結末に鳥肌がたちました。すごく面白かったです。これからも頑張ってください! (2020年2月27日 1時) (レス) id: d5ef40128c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nel_ | 作成日時:2020年2月2日 1時