case7.XIUMIN ページ23
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目の前にバラバラに散らばった資料と、上から突き刺さる痛い視線。
厳密に言えばオフィス中の社員からの痛い目線も刺さっていたけれど、それを全部かき集めてもこの人の痛すぎる視線には到底勝てない。
MS「…何やってんの?」
「すみません…。すぐ片付けます。」
MS「はぁ…。ったく、ハズレだよこんな手のかかる女。」
大きなため息を吐いて蔑んだミンソク先輩は私の上司で、この会社一番の出世株らしい。
特徴的な猫目でじとっと見られると緊張するから苦手だ。
それに、この高圧的な態度とこだわりの強さ。
仕事は出来るし慕う社員も多いけれど、私はどうも好きになれない。
今日もミンソク先輩について行くのに精一杯な私は会社ではおじゃま虫みたいだ。
一生懸命やってるだけじゃダメだって事はわかってるけど、少しくらい褒めてくれてもいいのに。
MS「片付けも出来ないの?時間かかりすぎ。」
「すみません…、」
MS「さっきから謝ってばっかり。すみませんは聞き飽きた。」
「すみま…っ、あぁもう…、ごめんなさい。」
見てるだけで文句ばっかり!
手伝ってくれてもいいじゃない。
そんな事死んでも言えないけど、心の中で思うくらいはいいよね。
やっと全部の資料を拾った私は目の前のミンソク先輩を見た。
MS「…行くぞ。」
「はいっ。」
どうしてこの人の部下になっちゃったんだろう。
しかも何も知らない女性社員からは恨まれるし。
無駄に顔だけはいいからね、この人。
MS「さっきから何考えてんだ。ボソボソうるせえ。」
「えっ声出てました?すみません。」
毎日毎日飽きることなく虐めてくるから、逆に尊敬。
…はぁ、今日もお酒に頼ることになりそうだ。
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私が何とか大手の企業に就職出来て3年目の春、会社全体の部署異動で私の平穏な仕事人生は終わりを告げた。
経理部で波風を立てずに過ごしていたのに、何のスキルも経験もない営業部に飛ばされてこき使われる日々。
プライベートがパッとしないのは私が悪いけど、それにしたっていい事のひとつくらいあってもいいのに。
「…はぁ。」
大きなため息を吐くと同時に着信を告げる私のスマートフォン。
せっかく仕事が終わって家でゴロゴロしてたのに、誰が何の用よ?
私は飲みかけのビールをテーブルに置いて着信の相手を確認した。
「うわ…ミンソク先輩。」
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ぼぷぴ(プロフ) - 貴方様が書くお話、本当に面白いです…!!今回のギョンスのお話も最高でした…いろんな意味でドキドキが止まりませんでした!!これからも応援しています! (2020年3月24日 16時) (レス) id: eb25947e96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう。(プロフ) - 1話1話がすごく読み応えがあって面白いです。シウミンさんの物語とスホさんの物語が個人的にすごく好きです。これからも作者さんのペースで更新して頂けるとうれしいです。 (2020年3月17日 3時) (レス) id: 622a208a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 今日初めてこの小説を見つけたのですが、とてもハマって一気に読んじゃいました。どれも狂気的で特にセフンくんのは結末に鳥肌がたちました。すごく面白かったです。これからも頑張ってください! (2020年2月27日 1時) (レス) id: d5ef40128c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nel_ | 作成日時:2020年2月2日 1時