お前ら日常コントの神か【Fischer's】 (ページ39)

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その後その3 ページ39

シルク「...だからっ...嘘じゃねぇって...言ったんだよっ...」

扉の方から声がして振り向くと、いつの間に来たのか4人が息を切らして立っていた。

皆、暗い顔してる。

『夢...じゃない...』

頬を抓ってみても、痛い。

それが殊更に現実なんだと実感させられて、どうしようもない虚無感に支配される。

＿＿＿なんか、どうでもいいや。

ふと、そう思った。

それは一種の諦めみたいなもんなのかもしれなかった。

涙は、もう流れてこなかった。

私は立ち上がると、入り口に向かった。

『ごめん、暫くほっといて』

彼らの横を通る時にそれだけ呟くと、その場を後にした。

その後、どうやって帰ったかは覚えてない。

気が付いたら、自宅の布団にくるまっていた。

枕は、涙でぐしょぐしょになっていた。

モトキSide

救急車で運ばれた茜は、丸2日寝ていた。

俺を誘拐した犯人、もとい瀬上真実さんは治療の甲斐も空しく、茜が目覚める前の晩に息を引き取った。

死因は出血多量だった。

目覚めた茜にそれを伝えたが、動転して信じることはなく、結局、真実さんの遺体を目にし相当なショックを受けたようで、ほっといてほしいと言われてしまった。

あの後、俺たちは一旦シルクの家に帰ってきた。

ぺけ、ダーマ、ザカオも合流し、先程あったことを伝えた。

ザカオ「そっか...茜やっぱかなりショックだよな...」

ぺけたん「ほとんど面識なかった俺らだって、亡くなる時に立ち会ってかなりしんどかったもんね...」

皆、沈痛な面持ちだ。

そりゃそうだ、人が亡くなったのだから。

俺だって、いくら誘拐されたと言えど、別に恨んだり根に持ってるわけじゃない。やっぱり目の前で血の通った人間が冷たくなっていく様は、精神的に辛かった。

それが、肉親ともなれば尚更の事だろう。

俺らが簡単に察せる心中ではないと思う。

重い空気の中、シルクがぽつりと言った。

シルク「あいつ...Fischer's抜けるとか言わねー、よな...」

マサイ「でも言ってもおかしくないような雰囲気ではあったよな...」

シルク「そうなんだよな...はぁあ...」

しかし、塞ぎ込んでしまった茜に俺たちが出来ることは、ひたすら信じて待つことしかなかった。

俺は、俺たちは、己の不甲斐なさを身に染みて感じていた。