◎渡辺くんはいつも不機嫌

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佐「食べたいのある？あげるよ！」


『え、いいよ！佐久間くんのお昼でしょ？』


佐「俺こんなに食えないしー」


『…じゃあなんでそんないっぱい、』


佐「念の為？帰りに腹減ったら食う用」


『…なるほど、』


佐「それに、この間教科書貸してくれたお礼まだ出来てなかったし！」


『あぁ…そういえば、』


佐「パンでいいならいくらでも持ってって！」


『えぇ、と……じゃあ、』




申し訳ない気もするけど、せっかくそう言ってくれるし。一つくらい貰ってもいいよね？『はいはい！』とパンを見せてくれる佐久間くん。



う〜ん、と迷いながら一つ選ぼうとしていたら、佐久間くんの後ろから『何やってんの佐久間』と声が聞こえて来た。




佐「あ、ふっか。買えた？」


深「おー。メロンパンゲット。ついでに弁当も。つかお前めっちゃ買ってんじゃん」


佐「そうそう。だからお裾分けしようかと」


深「お裾分け？」




視線が私に向く。お弁当とメロンパンを手に持った彼が、不思議そうに首を傾げているから。あ、この人。この人も確か隣のクラスで、結構有名な人だった気がする。




佐「この前、世界史の教科書と資料集借りたんよ。だからそのお礼。購買に辿り着けなくて諦めてるんだって」


深「え、マジか。まぁ女の子だもんね。あ、そうだ。メロンパン食べれる？あげるよ」


『え、い、いいです！さすがにそこまでは』


深「見た感じ細いし、いっぱい食べた方がいいよ！」


佐「ふっか、それセクハラじゃね？」


深「え、マジ！？ごめんごめん！そういう意味じゃなくて、ちょっと細すぎて心配だから！って、これもセクハラ！？」




この人も、佐久間くんと同じく賑やかな人だという事がよく分かった。名前なんだったけ、思い出せないのが申し訳ない。




深「俺、弁当あるし。はい、あげる」


『えぇー…』


佐「俺の決まった？オススメは練乳パン。めっちゃ美味いよ」


『…えと、じゃあ、それを』


佐「はい、どーぞ！」


『…ごめんね、二人ともありがとう』


深「いーのいーの、」


佐「てか翔太は？全然戻って来ねえじゃん」


深「翔太、後輩と焼きそばパン取り合ってた」


佐「マジかよ。大人げねぇー(笑)」







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