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なんか恥ずかしい。どこどこ、と口元を拭うが『ちげぇよ』と渡辺くんはケラケラと笑っている。
ちょっとむかつく、でも取れない。クリーム取るだけでこんなに苦戦する?そんなもどかしい気持ちになっていたら。
渡「マジ面白い。逆だよ、逆」
『───、』
渡「ここ」
渡辺くんの親指が私の唇にそっと触れる。見た事ないくらい優しい顔で笑っているから、思わず瞬きを忘れてしまうくらい彼の顔を凝視してしまった。
そのままごく自然にぺろりと舐めてしまうから、その親指を目で辿る。と、渡辺くんも流石に気が付いたのかハッとしてから私を見る。暫く見つめ合って沈黙。
渡「…………」
『…………』
渡「…俺、今何した?」
『くりーむ、わたしの、』
渡「ごめ、」
佐「おい、お前らこんなとこで何やってんだよー」
深「翔太警官?…あ、Aちゃん」
なんでこうタイミングが良いんだろう。
賑やかな声が聞こえてきて渡辺くんと同じタイミングで顔を上げると、何故か頭に包帯を巻いている吸血鬼姿の深澤くんと、猫の着ぐるみで頭だけ取っている佐久間くんが居た。
佐「何してんの?って、それ照のとこのクレープ?」
『…あ、うん。そう』
佐「うわーいいなー!」
深「一緒に回ってんの?2人」
渡「まぁ…その、色々あって」
深「色々ねぇ…」
渡「………」
佐「なんか2人とも顔赤くね?」
『そ、んな事は』
どうしよう。佐久間くんって思ったよりも鋭い人?渡辺くんは困っているのか何も言ってくれないし、ここで2人とも黙ってしまったらどう考えても怪しいでしょ。そうどうにか誤魔化そうと思っても何も出て来なくて。
深「…Aちゃん、クレープ一口頂戴」
『へ、』
深「あーん、」
『っあ、』
佐「うわっ」
渡「………」
私の腕を取った深澤くんが、私の腕ごと自分の口元にクレープを持っていきそのままパクリと一口。
……一口大きいな、なんて呑気な事を考えている私と、『お前!少女漫画かよ!』と叫ぶ佐久間くん。
それから、そっぽ向いてしまった不機嫌そうな渡辺くん。深澤くんは『あめぇなー』と上機嫌に笑っていた。
どこまでも対照的な2人だな、と思った。
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めぇ(プロフ) - ゆきのさん» ありがとうございます〜!普通のコスプレだったら面白くないかな〜って思ってしまいました…(笑)これからもよろしくお願いしますo(^-^)o (2020年11月17日 15時) (レス) id: 84975d1747 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - ときめき過ぎて苦しい…。ウサギの着ぐるみを着るってなった時、「トラブルで結局可愛いコスプレ着ることになって、周りをときめかせるパターン」が頭を過ぎったのですが、まさかの着替えても着ぐるみ。こんなに着ぐるみが有効活用されることってある?ってなりました。 (2020年11月17日 5時) (レス) id: c02a029574 (このIDを非表示/違反報告)
めぇ(プロフ) - すずさん» わー!ありがとうございます(;_;)!これからもマイペースに更新頑張っていきますのでよろしくお願い致します…! (2020年11月14日 11時) (レス) id: 84975d1747 (このIDを非表示/違反報告)
めぇ(プロフ) - 葵瑠さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…!これからも見守ってくださると幸いです(^^) (2020年11月14日 11時) (レス) id: 84975d1747 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 最高すぎて意味がわかりません。めちゃくちゃ好きです。 (2020年11月14日 10時) (レス) id: f91208f58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めぇ | 作成日時:2020年10月26日 2時