◎渡辺くんはいつも不機嫌

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『疲れたぁーもう無理…』




頑張ろうかな、なんて意気込んだはいいけど私スタミナ無いんだった。二人三脚に障害物物競走、それから委員会の仕事と。休む暇もなく動きに動いて、久々に学校行事してるなーって感じ。



同じく渡辺くんや深澤くんも忙しそうで、話している暇なんて無かった。途中で佐久間くんに会って少しだけ話したくらい、




友達「お疲れ。めっちゃ頑張ってんじゃん」


『…疲れたよー…』


友達「次、借り物競走だ。渡辺くん出るんじゃないの？」


『あ、そうだった…』



グッタリとする私の背中をポンポンと叩いてくれた友達に腕を引かれ、グラウンドの近くへ寄る。今は委員会の仕事も無いし、渡辺くんが頑張ってる姿を見ておこう。貴重っぽいし。



そう思って、渡辺くんの姿を探していると。2年生のところにはラウールくんの姿が。あ、深澤くんも居る。




友達「A連れてかれたらどうしよう」


『いやいや、無いでしょ』


友達「こういうので"好きな子"っていうお題引いて連れて行かれるの、憧れない？」


『それ漫画の世界だよ』


友達「Aって意外と現実的だよねえ」





そんな会話をしていたら、スタートの合図が鳴る。歓声が凄い、流石だな。毎年思うけど、やっぱり借り物競走って盛り上がるんだよね。



あ、渡辺くんだ。紙を見て、難しそうな顔をしている。何のお題引いたんだろう、そう思っていたら『A、ちょっとA』と友達に腕を叩かれた。




『？』


ラ「先輩、俺と来て！」


『えっ！？ラウールくん！？』


深「ちょっと待って、Aちゃん！俺もAちゃん！」


『っえ、え？』


渡「おい、退け。弓木さん来て」


『？？？？？？？？』




ラウールくん、深澤くん。そして、渡辺くん。3人に囲まれ、腕を掴まれる。隣にいたはずの友達がいつの間にか居なくなっていて、大混乱の私。



何この状況、どうしたらいいか分からずに動けないでいる私なんてお構い無しに3人は揉めていた。




渡「お前、"年上の女性"って…先生とかでいいだろ！」


ラ「先輩だって年上じゃん！そんなしょっぴーは何て書いてあるの！」


渡「おい見んな！ふっか、お前は、」


深「いやいや、見せる訳ないっしょ。ジャンケンしよ。ジャンケンして勝った人がAちゃん連れて行くって事で、」







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