あんスタ【もう1人の転校生】9 (ページ10)

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第87話ページ10

貴｢あ！瀬名～！｣

瀬名｢うわ｣

中庭。たくさんの屋台が並ぶ。人波の中にいた瀬名を見つけて手を振った。

走って近づいていく。

貴｢さっきからキョロキョロしてたみたいだけど、探し物？｣

瀬名｢あんたに関係ないでしょ～？｣

ツーンと顔を背けられ、どうせゆうくんでしょ～と頬をつついた。その手首を取られ、違う。と言う。

貴｢じゃあ、なに？｣

瀬名｢…あんたを、探してたの｣

貴｢あたし？｣

瀬名｢そ｣

貴｢なんで？｣

キョトンとするあたしの顔を見て瀬名に、はぁ！？っとキレられた。声がでかいぞ～全員驚いてるぞ～。

はっとした顔をして瀬名は一度咳払い。あたしの手首を掴む力が少し強まった。

瀬名｢あんたと、文化祭まわりたいから、でしょ…｣

貴｢へっ｣

静かに熱を灯す青い瞳が、あたしの答えを待っている。

自分の鼓動がトクンとなって、ズキッと痛んだ。でも、

今日くらい、最後くらい、一緒にいてもいいよね。

いつも我慢ばかりしてたから、今日くらいはワガママを言ってもいいじゃん。

小さな子供のような事を心で呟いて、あたしは瀬名の腕に抱きついた。

貴｢案内、してくれるんだよね？｣

ニッコリと微笑んで、上目で見る。瀬名の頬は少し赤くなっていて、くっつくな！と腕を離された。しゅんとすると、

瀬名｢ん｣

貴｢ふふっ｣

差し出された手の上から自分の手を重ね、そっとギュッと握り返してくれる温もりが愛しい。