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二つの意味 ページ48

無「……ほう」



ジェネレーションギャップに珍しく目を見開く無惨さんの視線の先にあるのはーーー

大型アウトレット。



「えへへ、驚きました?」


無「随分と、進化したものだな」



中へ足を進み入れると、ありとあらゆる店と人が視界を彩る。



無惨さんと一緒に服屋、雑貨店、喫茶店などを回った。


服屋では店員さんが明らかに無惨さんに一目惚れしていた様で、彼も少々手を焼いていたようだった。ほんとうに罪深いひとだとつくづく思う。

雑貨店では無惨さんが「なんでも好きな物を選ぶと良い」と言ってくれたけど、折角だし…とお揃いのボールペン等を買った。

喫茶店ではわたしはミルクティーを頼んで、無惨さんは珈琲を頼んだ。
紅茶が好きなわたしでも彼のように珈琲をあんなに余裕綽々で嗜める自信はない。



無意識のうちにわたしも無惨さんも笑顔だった。




それから気付けばもう日が落ちかけていた。



無「……!A」

「どうしました?」


隣の無惨さんが向ける視線の先を追えば、色彩豊かな宝石店が目に入った。

煌びやかながらも決して気取らぬその内装に、つい見蕩れてしまう。


無「入ってみるか」


こっちを向いてそう言う無惨さんはまるで父親みたいだな…と、そんな事を考えながら

「はい!」

と返事をした。


ーーー


無「…折角だしどれか買って行こう
A、どれが良いか?」

「え、ええっ!?」


いつもの口調で高額の買い物をする事をさらっと言ってしまう無惨さんは、本当に恐ろしいひとだ。


『なにかお探しですか?』


どれにしようかと思い悩んでいた所、店員の方に声を掛けられる。


無「はは、どれにしようか思い悩んでいた所でして」


『あ、ありがとうございます…!!』


彼からしたら何の気なしの一言が店員さんのハートを掴んでしまったようで、店員さんはすっかり赤面して動揺してしまった。


『…えーと、でしたらこちらなんてどうでしょう』


そう言って店員さんが手で示したのは、赤く揺らぎない光を発する宝石。


『これはレッドベリルと言って、主に幸福の象徴なんですよ!』


無「ふむ、中々綺麗ですね」


「わ、とっても綺麗…」


レッドベリルの神々しいまでの輝きに、わたしはつい心を奪われてしまう。


無「ではこれを頂きましょう
二つ、指輪で」

「っ!?!?」


ま、待って、今、指輪………って…………?



『…!!


かしこまりました!』



私と無惨さんを交互に見た店員さんは、笑顔で承ってくれた。

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作者名:スイ | 作成日時:2020年1月25日 22時

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