大丈夫、守るよ ページ20
「…ぐ、あああ」
みっともない嗚咽を漏らして、
気付いたらわたしは無惨さんに抱きついていた。
「大丈夫、だいじょうぶ、だいじょうぶだよ、わたしはむざんさんのみかただ、よ、わかる、ぜんぶ、わかるよ、だって、だって、わたし」
顔と背中に温かい体温を感じる。
それは、無惨さんもまたわたしを抱きしめてくれているからなのだと、すぐにわかった。
わたしは自分の泣き腫らした顔が大嫌いだからすごく恥ずかしかったけど、
恐る恐る上を向いてみる。
無「A、…」
「!!」
泣いていた。
彼も泣いている。
わたしのように泣き崩しているのではなく、
彼の持っている綺麗な顔を崩さないまま、
目を見開いて、口を半開きにして、
そのまま涙をぽろぽろと流している。
なにかに驚いているように。
その泣き顔が、とても綺麗で。
ーーー
(無惨ｻｲﾄﾞ)
涙を流したのは何百年ぶりだ?
私の、生い立ちに、
同情している?
…Aが。
はじめてだ。
上弦の一部等に生い立ちを話した事はあった。
…だが、
Aは……
私に同情して…?
十二鬼月共の、着飾りだけの忠誠心ではなく?
「…!」
久しぶりだ この感覚は…………
�爐△燭燭�い��
泣きじゃくって私に抱きつくAを、
整理がつかない感情のせいでたどたどしく震える体で抱きしめ返す。
「A…」
…見える。
そうか。
Aはこの、触れたら壊れそうな儚い体で
抱え切るには重すぎる過去を背負ってきたのだな
全て見える…わかる。
だから…こんなに涙を流してまで、私に同情をするのか。
私達は、似た者同士だな…A。
そんなAが、堪らなく愛おしく思えた。
まるで娘のような、恋人のような、
どっちつかずの、入り組んだ感情。
無「A……大丈夫だ よく頑張った
これからは私がついているよ」
誰にも言えない人生抱きしめさせて、→←消えてしまえばいい過去、
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作者名：スイ | 作成日時：2020年1月25日 22時
