主人公は転職できないらしい【PRODUCE101JAPAN】

46 恋愛耐性がなさすぎる ページ11

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…今日なんの日？バレンタイン？違うよね？





ぜえぜえと肩で息をして、視界に入った適当な空き部屋に入る。

心臓がドクドクと音を立てて鳴っているのが自分でもよくわかるし、じんわりと顔が熱い。




もう元バイト仲間の鶴房汐恩と練習生の木全翔さんじゃなくて、恋愛対象の鶴房汐恩と木全翔也になってしまったんだ。

…あんなに辛そうな2人の顔、初めて見た。





私は床に情けなく座り込む。





私の答えにオッケーするという選択肢がないことなんて2人ともきっと分かっていただろし、その上で告白してきたんだ。





鶴房がどれほど真剣にアイドルを目指しているのかなんて、突然バイトを辞めたあの日から私が一番よくわかっていた。


木全がどれほど強い気持ちで西くんの思いを背負っているかなんて、順位発表でボロボロに泣いているときから痛いほど伝わってきた。







鶴房がふざけて、私が呆れて、それを見てまた木全がふざけて、その関係じゃダメなのか。





『…夢じゃないかなあ』





きっぱり距離を置いてしまおうか、なんて考えたけど今までの記憶が邪魔をして、そんなこと私が許さなかった。

なんだかんだ2人の存在は、私の中で想像より遥か大きく大切な存在になっていたらしい。





…どうすればいいんだ、私。





自分の気持ちを伝えるだけ、簡単なことなんだけど。

ちらつく2人の傷ついた顔。



この後の仕事を投げ出して、いっそのことこのまま逃げ出してしまいたかった。






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