第五十一話 少女と森 ページ3
「大丈夫かい・・・?」
裏路地で力尽きたように倒れている子供。
一瞬死/んでいるかと思ったがどうやら息は未だ有るようだ。
この寒い2月に其の少女はボロボロのワンピースと云う格好。
酷い怪我を負っているが白いワンピースには少女の物では無いのであろう大量の血が付いている。
齢は十歳位だろうか、然し痩せている為かそれよりも小さく見える。
寒さに震え、時々苦しそうに息を吸う。
薄汚れているが少女の銀髪はとても綺麗な物なのだと判った。
「大丈夫かい?」
男はもう一度訊く。
少女は息をするので手一杯で応える事は無かった。
"飢餓に栄養失調に凍傷か"
男はそう考え自分の白衣をその少女に掛けた。
『・・・・?』
自分の白衣の下で不思議そうに此方を見つめてくる。
夕陽色の瞳が鈍い光を放っていた。
はくはくと呼吸をしながら少女は必死に口を動かす。
"ねむい"
彼女の口はそう動いていた。
男は「駄目だ」と云い抱き上げる。
「矢張り軽いな」そう呟いた。
「寝てはいけないよ
今眠ったら君は凍え死/んでしまう」
森の言葉が通じたのか、腕の中の少女は寝まいと必死に瞼を開けていた。
「よし 善い子だ」
薄く笑みを浮かべて男は少女を暖めるようにして抱き締める。
腕の中の少女は安心したように、花が綻ぶような笑みを浮かべた。
これが後のポートマフィア
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その後、衰弱の激しかった少女は4日間目を覚まさなかった。
森の適切な処置のお陰か、目を覚ましてから2日で起き上がれる迄回復した。
7歳の頃、誘拐され母国から連れてこられた事。
度重なる暴力から逃れる為に主人を殺/してしまった事。
怪我の痛みと寒さで死/を覚悟していた処を助けられた事。
森は少女を見つめながら訊く。
「主人を殺/すのに恐怖は無かったのかい?」
目の前の少女は『こわくない』と短く答えた。
矢張り日本語に慣れていない為か長い言葉は未だ発せないようだ。
少女はシーツを固く握り締め小さく震えた。
『こわくなんて ない
うれしかった』
「嬉しい・・・・・?」
森は聞き返す。
目の前の少女の瞳は何処迄も暗く濁っていた。
『わたしをなぐってたやつが うごかなくなった
もうなぐられない つらいことされない』
片言ながらも少女は必死に言葉を紡いだ。
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» いえいえ、大丈夫ですよ。 (2018年5月11日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
無断転載禁止 - 私の勘違いでご迷惑をお掛けしましたすいません (2018年5月1日 7時) (レス) id: ad49824d41 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» アイビスペイントにて描きましたので一応証拠として写真を一時的にあげておきますね。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» 本垢なら「とっちー」という名前のはずですが・・・。 (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 無断転載禁止さん» それは私です。本垢か文スト垢かどちらのイラストを見たのかは分かりませんが「雨雫」という名前ですよね? (2018年4月22日 9時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年4月11日 15時