33話 ページ34
「な、んで。」
私なんて、いても足を引っ張るだけなのに。
迷惑をかけるだけなのに。
それが私を安心させる為に紡がれた言葉なのだとしたら、心が痛くて。
「俺がAが好きだから。」
だから、
だからこそ。
何気ない挨拶を交わすかのように、総悟の口から出た、好きと言う言葉にうまく反応できない。
「だって、私と総悟は幼馴染で、全然、そんなの、わかんな、い。」
突然のことに頭がついていかなくなった私は、驚くほど語り下手だった。
真選組をやめようと思っていたのに。
総悟の顔を見ていたら、やっぱり真選組にいたかったなんて言ってはいけない本音が溢れてしまうそうで、ここにきたのに。
落ち付けようと思っていたはずの心は、ぐちゃぐちゃに掻き乱される。
まるで元の形が分からなくなってしまった針金細工のよう。
一度崩れてしまったものは、二度と同じものには戻らない。
「Aは、さっきのことどう思ってるんでィ。」
さっき、だなんて。
今日はあまりにも色々な事が起きすぎて、総悟のいうさっき、がなんのことなのかわからない。
「さっきって、何の__」
けれど。
そう聞こうとした私の唇は、総悟によって塞がれた。
...総悟の唇によって塞がれた。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時