☆ ページ37
くたっと力なくゾムが後ろのベットに座る。
ゾムが私の目の前で目を潤ませている。
目の前の出来事を処理するのには時間がかかりそう…
｢…なんで……｣
ゾムが深呼吸して自分を落ち着かせている。
落ち着いた頃にフードの中、前髪の隙間から見える翡翠の目は真っ直ぐ私を見ていた。
｢…俺、昨日の放課後リンの事探してん。
結構、探してんけど…見つからんくて、さすがに帰ってもうたかなと思って、先に帰ったんや｣
もっと、ちゃんと探すべきやった、とゾムが俯いていた。
……お母様、私とてもいい人と友人になれたみたいです。優しくて、友達思い…
私は、それですらも利用してしまいそうです。
｢…ゾム、貴方のせいじゃないわよ。
確かにあの後、体が冷えてしまって低体温症になったわ。幸い、校舎の見回りをしていたトントン様が見つけて助けてくださったから｣
え、と言葉を詰まらせていた。
ああ、私は最低だ。ゾムの事を、責めるようなことを言ってしまっている。
彼なりに、後悔しているのに……
黙りとしてしまったゾムを見兼ねたようにしんぺい神先生が口を開いた。
｢…リンちゃん、体調はどうなの？｣
｢ベサリオニス家の使用人の方々が的確な処置を行ってくれたので大丈夫です。
ねぇ、ゾム。腹が立たない？｣
突然話を振ればゆっくりと私に目を合わせた。
怯えた様な、目。私が怒っているように見えるのかしらね。
ゾムの両頬に手を添え、上を向かせた。スルッとフードが取れ、整いきめ細かい綺麗な肌が顕になる。
当の本人は綺麗な瞳を揺らしていた。
｢…自分で言うのもアレだけど……
自分の大切な人が傷つけられて、怒りが湧いてこない？私だったら机の上のプリントを破り捨てるわ｣
突然何を言い出すのかと言いたげな顔。確かに、今の表現は伝わりにくいわね…
｢よく考えてみなさいゾム。全ての元凶はキャルベッスさんよ？私が昨日倒れたのも、ゾムが私の身を案じて悔しがっているのも…
全部、あの人が関わってるのよ｣
｢…せやなぁ……もちろん、俺のせいでもあるけど、キャルベッスには非がありすぎるか…
にしても、リンは不器用やなぁ｣
ゾムは、いつもの笑顔で言った。
｢…私、器用だと思うけどな｣
ニシシ、と笑うゾムを誤魔化すように私も笑った。……バレたか。
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こんにちは - 騙されましたほんとにめっちゃびっくりしました (2023年1月9日 0時) (
レス) @page47 id: 01cd7b0a2a (このIDを非表示/違反報告)
Nikotya* - 最後のやつ見事に騙されました(・ω・｀) (2021年8月11日 10時) (レス) id: 19e8c2f272 (このIDを非表示/違反報告)
とぅめぃとぅ - クリーパーとメルヘットとメンツーユはダメですってwwww (2021年5月30日 22時) (レス) id: fb32157b21 (このIDを非表示/違反報告)
木材(もくざい)(プロフ) - 文章の書き方がとても美しいです...感情ののせかたがとても上手で初めのこねしまさんに髪を捕まれるところで夢主に感情移入してしまって思わず涙が出てきました。とても尊敬します...。 (2020年7月12日 17時) (レス) id: cfd7089d94 (このIDを非表示/違反報告)
maron(プロフ) - zmさんとsypさんとciさんの名前で笑いすぎて鼻水吹いちゃいました()どうしてくれるんですか() (2020年6月18日 16時) (レス) id: 18f49ca017 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸桜＋α
| 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2020年3月28日 10時
