【黒バス短編集】『君を/貴方を/お前を愛してる』

次は勝つっスよ(黄瀬涼太) ページ34

私には好きな人がいる

その人は笑顔が素敵で明るくてかっこよくて……でも女癖が悪くて私にはやたら突っかかってくる


でもそれが嬉しくて、何度諦めようとしても諦められなかった



今日は誠凛高校と海常高校の練習試合

久しぶりに彼のバスケ姿を見るために足を運んでみた


「あ、黄瀬くーん！」


ちょうど体育館を探してたら彼が通った

そう、私の好きな人


私が呼びかけると彼は驚いた顔をして少し嫌そうな顔をした


「なんでアンタがここにいるんスか…

は？俺に会いに？


……ふうん

ま、別に関係ないスけど」


そう言って歩きだす黄瀬くんの隣に付いていく






試合終了


私は水道にいる黄瀬くんに声をかける


「……なんスか、俺を慰めて好感度アップしようとか思ってるんスか？

悪いけど、今アンタに構うほど余裕ないんスわ」


こちらを見ずに顔を拭く黄瀬くん

私は彼に近づき、頭を撫でる



「……は？

気安く触んな……」



そう言うが、言葉とは裏腹に私を抱きしめて頭を肩に乗せる

私は背中に手を回してもう片方の手で頭を撫でる



「頑張った頑張った

今日の黄瀬くん、バスケ始めた頃の黄瀬くんと同じ表情してた


私の大好きな黄瀬くんだったなぁ


大事なのは次だよ

次は絶対勝ってね」





黄瀬said



(黄瀬くん！

すっごくかっこよかったよ！)


(……黄瀬くん、なんか変わったね)



ずっと引っかかってた…彼女の悲しそうな顔が

その日から彼女とあまり話せなくなって卒業したまま



また会いたいと思ってた

今日、君に会えてよかった



「……かっこ悪いとこ見せちゃったっスね

次は勝つっスよ」



今度はかっこいいとこ見てもらわないといけないっスからね

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