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〜シンドバッドside〜
額に浮かぶ無数の汗
眉間に皺を寄せて
荒い呼吸を繰り返す彼女
「どういう事だ?」
視線の先の高齢の医者は
彼女から手を離すとゆっくりと頭を垂れた
「恐れながら申し上げます王よ。
これは…毒ですな」
「どういった類のものだ?なぜ今更…」
「わかりません。ただ、遅効性だったのでしょう…命を脅かすものではありますまい。だがしかし、何かしら後遺症が残るやも…」
「魔法では治らないのか?」
「もう手遅れでしょう。」
俺はなぜ…気づけなかったのか。
「そんな顔をなさらないでください。
あのような状況から、命が繋がっただけでも奇跡の様なもの。A様は何者かに護られて居られるのでしょうな」
昔からの馴染みの医師は
白い髭を撫でながら柔和な笑みを浮かべていた
.
.
.
〜ジャーファルside〜
____数日前
「Aはきっと、パルテビアに向かっただろう」
「まさか貴方が直接向かうつもりですか!?」
「ああ。なにか、嫌な予感がする」
「それならば、私が行きます。今日は商談が____」
「すぐ戻る」
元から有無を言わせぬつもりだったのだろう、
シンは魔装をして近くの窓辺から飛び去った
そして2時間程がたち
にわかに王宮内が騒がしくなった
____シンが戻ってきたのか
「シン!もう2時か……」
「医官を呼べ!今すぐにだ!
ジャーファルお前は応急処置をしろ!」
詰め寄った先に現れたのは
自身の服を真っ赤に染めながら
ぐったりとして血塗れのA様を
抱き抱えるシン。
「何事ですか」
近くのベッドの上に降ろされた彼女に処置を施しながらシンに問うも
「わからない。路地に倒れていた。出血が酷い」
早口にそう言われたっきりで
状況は何も掴めなかった。
それから数日が経過し、
彼女が目を覚ましたことを知ったが
今度は毒に侵されていると聞いた。
どうにかできないのかと
ヤムライハに尋ねてみたが
首を横に振るだけだった
それからさらに数日が経過し
再び、彼女が意識を取り戻したと知り
部屋に出向いた
ベッドの上で王と
談笑しているところだった
「沢山の人の命を奪った私への罰ね…そんなに悲しそうな顔しないでよ。足が動かなくたって平気。貴方がそばに居てくれるもの」
踏み出すはずだった足が
鉛のように重くなる
あの時私が彼女を止めていたら
こんなことにはならなかった。
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紅妃(プロフ) - 完結おめでとうございます。いつも楽しみの一つにさせてもらっていました。これからの活動も応援しています。 (2018年3月14日 9時) (レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
はな - めっちゃおもしろいです!続き早く読みたい。。!!夜猫さん、この小説のことわすれないで〜〜〜ヾ(・ω・`;)ノ (2017年1月10日 19時) (レス) id: 6a8fed615c (このIDを非表示/違反報告)
月影みこと(プロフ) - すごくおもしろいです。続きがとても気になります。応援してます! (2016年11月21日 23時) (レス) id: 9705d14001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜猫 | 作者ホームページ:https://twitter.com/tutimikado12113
作成日時:2016年10月11日 21時