【ヒマワリの微笑み】4 ページ7
その出会いがちょうど、一年前の出来事だった。
アスモデウスはしゅうしゅうと白い煙を吐き出すケトルを横目に見ながら、ティースプーンで一杯ずつ砂糖とミルクをマグカップに入れる。入間は特別砂糖とミルクを多めに入れて、甘いカフェオレにする。
アンティークのリビングテーブルの上に置いたカップから離れ、ケトルを取るとまだ熱い湯を二つのカップに入れる。八分目までお湯を入れて数週スプーンを回し、「入間様!」と寝室で眠っている入間を呼びに行く。
付き合い出したのは、今から二ヶ月近く前。告白したのはアスモデウスからで、入間が魔王として君臨した前世の頃に自分の気持ちを押さえつけ──忠誠を誓う良き部下であり、親しい友で在ろうとした。
それが結果として、入間を失う要因になったのだと考えたアスモデウスは長い時間の間にふと、気付いた。もし、友より親しい仲になることができたら。
仲を深める内に彼をヒトならざる者に出来たら。
──愛しい入間様。どうか、許してください。この罪深い私を。
そっと手を組み、アスモデウスは祈るような仕草をする。祈りの言葉を唱えることも出来なければ、神に誓う事すら出来ない身。それでも、そうしなければいけなかった。入間に赦しを乞うことで、これから犯そうとする罪から逃れようとした。
「……おはよう。アズくん」
ドアの向こう側、男二人で眠ってもまだ余裕のある大きなベッドの上で、花が咲くように愛らしい笑みを浮かべる入間を見て、アスモデウスは呟いた。
「お慕いしております………、入間様。これ迄も、これからも……」
貴方が朽ちても、またきっと……私はその手を──。
アスモデウスの歪んだ笑みに、入間は気付かない。
さっく。さんが書いてくださった【サンフラワー・メランコリー】のアズ目線の作品になります。
さっく。さんから掲載許可を頂いて、掲載しています。
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作者名:しょくらぁと | 作成日時:2019年12月4日 19時