【魔入間】カーネーションの花束を。【短編集】 (ページ19)

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エリ？【クレオメの誓い】ページ19

空き教室の中で二人っきり。テーブルを挟んで内緒話をする様に、ひそひそ話す。

売店の新発売のお菓子が美味しかった。とか、気になっている殿方と話せた。とか他愛のないものばかり。

そして、

「ねえねえ、エリちゃん」

「なぁに？Aちゃん」

この後、何を言われるのかはわかっているけど、あえて知らないふりをしてみる。

「私、エリちゃんのこと大好きだよ。…エリちゃんは、私のこと好き？」

私も誰よりも好きだと、答えそうになるがぐっと堪え、少し意地悪に

「ありがとう。私もAちゃんのこと、好きよ？」

そう返すと、お餅のように柔らかそうな頬をぷくぅとふくらませた。

「ふふ、そんなに頬をふくらませてると、戻らなくなっちゃうわよ？」

ふにふにと、見た目と違わぬほど柔らかな頬をつつくと、不機嫌そうな顔をしたまま、

「だって、エリちゃんの好きって、トモダチとして。でしょ？私は本気で、エリちゃんのこと───」

「あれ？姐さんそんなとこで何してるの？」

振り返ると、リードくんが(尻尾を使って)立っていた。

「リードくんこそ、どうしたの？」

「姐さんの声が聞こえたから。姐さんは、一人でなにしてたの？」

人差し指を自分の唇に当て、

「ふふ、内緒」

テーブルの反対側にはもう誰もいない。