歌えなくなって、ごめんなさい。《Taiga.K》

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Yugo







樹も北斗も、素直になれよな。



全部裏っ返して素直になれなくて、見ててイライラするっつーの。





俺は絶対手貸さないし、自分たちで何とかしろよ。








慎太郎もジェシーも、心配だとか言って俺に言ってくんの。




ほら、同い年って二人だけだし、自由奔放な末っ子たちに、マイペースな兄貴たちって大変だと思うけど、さ。









いっつも何だかんだ俺たちを仕切ったり、間の中継役を意識しなくてもやってくれてたり。俺らも北斗と樹におんぶにだっこばっかで頼りないのかもしれないけど、心配だけはかけんなよ。









まぁそれは大我も同じなんだけど。







甘え方、忘れちゃったのかなってぐらい一人で生きようとしてさ。


壁、作ってばっか。







その壁壊すの待ってるから。





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Hokuto








何となく、ただ何となく入った京本の部屋。



夜遅く、もう寝てしまった京本の姿を見て少し安心したのも束の間、




夜の月に照らされて、机の上で反射する物を手に取ってみる。








赤黒く何かがこべりついたカッター。




勘づいてしまって恐る恐る、京本の腕をとる。









「どう、して…」









くっきりと残る無数の線。新しいものから古いものまで、何回も何回も切った跡。









ひらり、


夜の風になびく京本の色の落ちかけた金髪頭。








何もすることが出来ないことが悔しくてその髪の毛を掴んだ。







泣くな、なんで俺が泣くんだよ。




泣かないように太ももを思い切りつねって、感情をかみ殺す。









薄らと、瞳の下に残る涙の跡。








苦しんで、苦しんで、それからたどり着いた結果がコレだったんだな。


楽に、なりたいよな。









「きょうもと……教えてよ、俺は何をすればいいのかな、どうしたら力になれるのかな、」









俺はまた、"逃げる"方を選んだ。







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