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Hokuto
慎「きょも〜!俺たち仕事行ってくんね〜」
玄関先で叫ぶ慎太郎の声。もちろん、京本が反応することはない。
俺を除く4人に仕事があって、俺はたまたま一日オフだった。
部屋に籠るようになって、滅多に顔を出さなくなった京本。無理に明るくするのも、俺たちと一緒に居るのも、負担になるかもしれないと思って今は見守ることに決めた。
樹「きょものこと、頼んだから」
俺に対して機嫌の悪さを隠すことも無くなった樹が無愛想に告げた。心配そうに交互に俺たちの目を見る高地を無視して樹に冷たい視線を向けた。
俺も無愛想に「分かってる」とだけ言って、4人と別れた。
適当に朝食を済ませ時計を見るとそろそろ京本が目を覚ましている時間だった。
お粥なら食べてくれるかもしれないと思い、京本の部屋に入る。
ベットに座って壁にもたれ掛かっていた京本は俺に気づいて、顔を上げた。
諦めの色が強くなった瞳を直視できなくて、目線は合わせられない。
「お粥、作ったんだけど食べれそう?無理して、食べなくてもいいけど…」
全く反応を見せない黒く濁った瞳。
京本のベッドに腰掛けて口にスプーンを近づけるとゆっくりと口が開かれた。
一口、また一口、時間はかかったけど全部食べてくれて安心した。
それからしばらくベッドに座ったままでいる俺のことが不思議に思ったのか目をぱちぱちさせる京本。こんな、少しの反応でも俺にとってはすごく、嬉しいんだ。
程なくして寝てしまったみたいで小さな寝息が聞こえてきた。
今や青白くなってしまった肌にくっきりと浮かぶクマ。
背中を丸めて寝てしまった京本は、小さく見えた。
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璃斗(プロフ) - 美桜さん» マイボードにてお返事しましたので拝見いただけると幸いです!! (2021年1月19日 21時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
璃斗(プロフ) - 美桜さん» ご報告ありがとうございます。私自身インスタグラムの方では活動しておりません.......自分の目で確認したいのでもしよろしければマイボード(私のプロフから飛べるはずです…!)の方でアカウント等を教えていただくことは可能でしょうか? (2021年1月18日 10時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 所々変えてありますがほとんど同じ内容の作品を見かけたのでもし盗作だったらと報告させて頂きました。作者さんご本人がアップされている作品でしたら申し訳ありません。 (2021年1月17日 14時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - お久しぶりです。作品終了からしばらく経ってしまった後で申し訳ないのですがInstagramの方でもこちらな作品を投稿なさっているのでしょうか?? (2021年1月17日 14時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)
璃斗(プロフ) - 美華さん» ありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです…!!今後とも、よろしくお願いします(^-^) (2020年5月4日 22時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:璃斗 | 作成日時:2019年10月13日 12時