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Juri
きょもが目を覚ましてから数日たって今日からグループの仕事が始まることになった。
きょもの耳はだんだん快方に向かっていて、まだ聞き取りづらいみたいだけど、何とか俺たちの言っていることは分かるようになってきた。
でも、きょもに喋る意思はまだ…ない。
固く口を閉ざしたまま、俺らにも頷くぐらいしかしない。
「きょも、行ってくるね」
玄関にまで見送りに来てくれたきょもに向かって声をかけると、ゆっくりと腕が伸びてきて、俺の手を掴んだ。
優しく振りほどこうと思っても、意外と力が強くて離そうとしなかった。
「どうしたの?……一緒に来たいの?」
きょもは下を向いたまま頷いた。
高「やめとけ、大我の味方ばっかじゃない。なに言われるか分からないんだよ?」
高地の言葉にはっと、息を呑んだきょも。ここ数日激しく報道するメディアに週刊誌、デタラメな記事を信じて、変な噂を流す人だっていた。
避けてても、不意に耳にするその記事はもちろん、きょもにだって届いてしまっているはず。
眉間に皺を寄せて悩んでいるきょもの腕を慎太郎が取った。
慎「きょもが行きたいなら行こうよ、俺たちが守るから!きょももそっちの方が寂しくないし、俺らもきょもがいた方が落ち着くしさ」
きょもの表情は相変わらず冷たくて全く反応を返さない。。優しかった眼差しも今は氷のように鋭い。全部、……変わってしまった。変えられてしまったんだ。
靴を履いて出かける準備を始めたきょもと手を繋いでそのままマネージャーさんの車に乗った。
慎「あ〜!樹、またきょもの隣にいる〜!最近ふたり距離近くない!?」
なんていう慎太郎の不満は気にしない。俺は出来るだけ、きょもの近くにいたいんだ。変化とか、些細なこと何でもいいから俺が一番に気づきたいんだ。
車が揺れて離れてしまった手と手。
きょもがぎゅって握り直した。
隣のきょもを見ると、少し照れたように笑った気がした。
待ってるからさ、その笑顔また見せてね。
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璃斗(プロフ) - 美桜さん» マイボードにてお返事しましたので拝見いただけると幸いです!! (2021年1月19日 21時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
璃斗(プロフ) - 美桜さん» ご報告ありがとうございます。私自身インスタグラムの方では活動しておりません.......自分の目で確認したいのでもしよろしければマイボード(私のプロフから飛べるはずです…!)の方でアカウント等を教えていただくことは可能でしょうか? (2021年1月18日 10時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 所々変えてありますがほとんど同じ内容の作品を見かけたのでもし盗作だったらと報告させて頂きました。作者さんご本人がアップされている作品でしたら申し訳ありません。 (2021年1月17日 14時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - お久しぶりです。作品終了からしばらく経ってしまった後で申し訳ないのですがInstagramの方でもこちらな作品を投稿なさっているのでしょうか?? (2021年1月17日 14時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)
璃斗(プロフ) - 美華さん» ありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです…!!今後とも、よろしくお願いします(^-^) (2020年5月4日 22時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:璃斗 | 作成日時:2019年10月13日 12時