歌えなくなって、ごめんなさい。《Taiga.K》

20 ページ20

Juri









「ふざけるなっ！！」




声のするほうを振り向くと、慎太郎がチーフマネージャーに掴みかかっていた。




一瞬の出来事に、誰もが慎太郎はチーフマネージャーを殴るだろうと思ったが、慎太郎は襟元を掴んだまま肩を震わせている。





はぁ、はぁ、と荒い息をして慎太郎が睨んだ。









慎「さっきから、なんなんですか。俺たちには未来がある、今が大事なんだ、って。



きょもには未来はないんですか？今が大事なのはきょもだって一緒じゃないんですか？




未完成だ、なんだ、ってそりゃあ俺たちにとってもきょもは必要不可欠だけど、俺たちだって不安だけど、…俺たちが守ります。SixTONESを、京本大我を。





きょもが帰ってくる場所は俺たちしか守れないから。




文句を言う人も、酷い言葉を言う人もいるなんて分かってるつもりです。それでも絶対、守ります。





ファンの人たちだって、不安だと思うから、だから俺たちだけは前をむいていなきゃいけないんです。




だから、…だから、お願いします。辞めさせないでください。」






それまで静かに黙って聞いていた高地が口を開いた。



静かにチーフマネージャーの瞳を見据える高地の目は据わっていて、ここで初めて高地も相当怒っていたことに気づいた。









高「慎太郎の非礼はお詫びします。ですが、俺たちは、SixTONESとしては慎太郎の意見に賛成です。



過ごしてきた長い時間は数字で表すよりも、もっと深くて重たいんです。



京本のことを誰よりも分かっているのは他の誰でもなく、俺たちSixTONESです。





意味もなく、京本のことを悪く言うやつが居たら、俺が許しません。

それで俺がどうなってもいい。





SixTONESだけは守ります。


相手が、誰だろうと、




例えいま目の前に居るあなたであろうと。」






時折、唇を強く噛んで、ゆっくりと話した高地の目は一度もそらされなかった。



強くて、カッコよすぎるぐらいの高地の覚悟が、すごく頼もしかった。





でも、そうやって思ってるのは、高地だけじゃないんだよ。



ジェシーも、北斗も、慎太郎も、もちろん俺だってそれぐらいの覚悟は出来てるよ。









それまで険しい顔で話を聞いていたチーフマネージャーの表情が途端に優しくなった。









・

21→←19

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す