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Yugo
本番は大我の声が出なかったこと以外は無事に終了した。
途中でみんな直ぐに気づいて、音量が不自然にならないように抑えて歌った。
踊りも全く問題なかったし、何よりも大我が最後までやり切ってくれたことに一安心した。
さすがに疲れてしまったのか、大我がうずくまっていた。樹の声掛けにもあまり反応せずに、ふらふらとどこかへ消えた。
樹が後を追おうとして、ジェシーがその手を取った。
樹「え、なんで?」
ジ「今は、行かないで」
わけも分からず、それでも強い声音で止めるジェシーの意図が分からなかった。ただ、瞳は一点を見つめて、心なしか潤んでいるように見える。
北「京本に、何かあったの?」
ふぅ、と大きく息を吐いてジェシーが言葉を紡ぐ。今までに聞いたことがないくらい、弱々しいジェシーの声が、不安をより一層かきたてた。
次の一言は、俺たちの間をすり抜けてどこかへ消えてしまった。あまりにも現実性を帯びない内容が、静けさの中に重く伸し掛る。
ジ「声を失ったんだよ、大我」
樹「……どういうことだよ」
ジ「歌だけじゃなくて、喋ることも出来なくなったんだ」
誰も、何も言えなかった。声を失うなんて、寄りによって大我にそんなことが起こるなんて。
怖さ、とか辛さ、とかそんなの計り知れなくて。簡単に言葉に出しちゃいけない気がした。言葉にしてしまったら、恐怖を呑み込まれてしまいそうだった。
重苦しい雰囲気が俺たちを包んだ。
樹「そんなの、…なんでっ、」
慎「ねぇなんで?…どうして、きょもなの?、そんなのあんまりだよっ!!」
北「…慎太郎、」
樹は下を向いて唇をぎゅっと噛み締めた。
北斗の肩を掴んで、ぶつけどころのない怒りを吐き出した慎太郎は、北斗の悲しみに歪む顔を見てその手をゆっくり離した。
慎「ごめん、頭冷やしてくる」
慎太郎は目に涙をいっぱいためてこの場を立ち去った。
ジ「大我探してくる」
誰も、ジェシーの言葉には反応せずにジェシーは走って大我を探しに行った。
北斗が、ふらふらと歩く樹の腰を支えながら楽屋に戻ったのを皮切りに俺も楽屋へ戻った。
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璃斗(プロフ) - 美桜さん» マイボードにてお返事しましたので拝見いただけると幸いです!! (2021年1月19日 21時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
璃斗(プロフ) - 美桜さん» ご報告ありがとうございます。私自身インスタグラムの方では活動しておりません.......自分の目で確認したいのでもしよろしければマイボード(私のプロフから飛べるはずです…!)の方でアカウント等を教えていただくことは可能でしょうか? (2021年1月18日 10時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 所々変えてありますがほとんど同じ内容の作品を見かけたのでもし盗作だったらと報告させて頂きました。作者さんご本人がアップされている作品でしたら申し訳ありません。 (2021年1月17日 14時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - お久しぶりです。作品終了からしばらく経ってしまった後で申し訳ないのですがInstagramの方でもこちらな作品を投稿なさっているのでしょうか?? (2021年1月17日 14時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)
璃斗(プロフ) - 美華さん» ありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです…!!今後とも、よろしくお願いします(^-^) (2020年5月4日 22時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:璃斗 | 作成日時:2019年10月13日 12時