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Taiga
音源を流す判断には従った。被せで歌えればいいって思ってた。
どこかで淡い期待を描いてた。
本番になれば歌えるって。
声なんて、全く出なかった。
途中で気づいたジェシーが直ぐに歌う音量を調節してくれて違和感は消してくれた。
どこかで諦めていたのかもしれない。
実際、この前歌えなかった時よりショックは少なかったし、ダンスに集中する余裕だってあった。
みんなに、ありがとうって言わないと。
「…………っ、」
目の前が真っ暗になる感覚に襲われた。体の力が抜けてその場にうずくまる。
俺を心配する樹の声に気づかなかった。
……声が、出せない。
歌い終わって、声は出るはずなのに。
2.3日前までは、喋れていたのに。
歌えないことを気にしていた俺のことを支えてくれたのは間違いなくみんなの『声』で、そのおかげで『声』を出して笑って、俺もみんなのその声に応えたくて頑張って気持ちを『声』にして届けて。
俺の唯一の、武器、なのに。
喉に力が入らない。空気を掠れる音だけが耳に侵入して絶望を突きつけてくる。
頭を打ったような衝撃と、気持ち悪さ。
息の吸い方を忘れてしまった気さえした。
樹「きょも、大丈夫?」
樹の言葉にぼーっとしながら頷いて、そのまま覚束無いで足取りでふらふらと立ち去った。
大丈夫なわけ、ないじゃん。
助けて、じゅり。
たすけて。
そんな声は心の中だけで響いて、消えていく。
誰も、
何も、
俺のことなんか分からない。
声が出ないって、
こんなにも怖いんだね。
あまりにも突然で、涙なんて出なかった。喉に手を掛けて力を込めても、ただ苦しくなるだけだ。
このまま、死んでしまおうか。
そんなことまで考えた。
計り知れない闇に包まれた気分になって、孤独感に襲われる。
もう俺は、SixTONESにいちゃダメなんだ。必要ないんだ。俺は、いらないんだ。
そう、伝えられているみたいだった。
何よりも、SixTONESに必要とされなくなることが一番、怖かったんだ。
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璃斗(プロフ) - 美桜さん» マイボードにてお返事しましたので拝見いただけると幸いです!! (2021年1月19日 21時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
璃斗(プロフ) - 美桜さん» ご報告ありがとうございます。私自身インスタグラムの方では活動しておりません.......自分の目で確認したいのでもしよろしければマイボード(私のプロフから飛べるはずです…!)の方でアカウント等を教えていただくことは可能でしょうか? (2021年1月18日 10時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 所々変えてありますがほとんど同じ内容の作品を見かけたのでもし盗作だったらと報告させて頂きました。作者さんご本人がアップされている作品でしたら申し訳ありません。 (2021年1月17日 14時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - お久しぶりです。作品終了からしばらく経ってしまった後で申し訳ないのですがInstagramの方でもこちらな作品を投稿なさっているのでしょうか?? (2021年1月17日 14時) (レス) id: d7589ab1a0 (このIDを非表示/違反報告)
璃斗(プロフ) - 美華さん» ありがとうございます…!そう言っていただけて嬉しいです…!!今後とも、よろしくお願いします(^-^) (2020年5月4日 22時) (レス) id: 18e89df471 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:璃斗 | 作成日時:2019年10月13日 12時