《後編》改）言えない師範と言わない継子【不死川実弥】

49 : 柱稽古 VS セクハラ柱 ページ10

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「よーし………Aは次、時透んとこ行ってこい」


『っしゃァ！』



宇髄様からの許可につい、拳を握った。


稽古がキツいだろうことはもちろん覚悟してたけども、この3日走らされっぱなしなんだ。

疲れてんだ正直。









あの緊急柱合会議で、岩柱様が提案されたのがこの＿＿＿柱稽古、なるものだった。



柱は普段から忙しい。

だから一般隊士に稽古をつけるなんて暇は無いわけで、例外は自身の継子と、たまに行う甲への出稽古。



それが今回は、全隊士が柱達の元へと順に赴き、稽古をつけてもらえるという。

刀鍛冶の里の闘い以降、何故か鬼の出現が減っているから、らしい。


そんな柱稽古、第一の関門は。



「しっかしお前はホント、体力あんなー」



元・音柱、宇髄様の「基礎体力向上訓練」。


感心されてるのか呆れられてるのか測りかねる口調の宇髄様に、ふふん、と鼻を鳴らす。



『そりゃあもう。あの師範に毎日毎日、本気でしごかれまくってますからね！』



数メートル先、折り重なるようにぶっ倒れている他の隊士達を横目に、ドヤってみせた。


軟弱野郎どもめ。

こちとらわりと毎日地獄見てんだわ、ふん。



「へーえ、毎日毎晩？ そら体力も付くわなあ」



ニヤニヤと何だかいやらしい顔で、そんなことを言ってくる宇髄様。

いやゲスいな顔。



『チッ………一応聞きますけど何ですか毎晩て』


「かーっ、皆まで言わせんなよ」



お熱いねえ、と続けた宇髄様の意図に気づき、わかりやすく顔をしかめてやる。



『残念ながら、宇髄様がご想像されてるようなことはミリもないですよ』


「は？ まさかお前ら、まだ清い仲？」



バカなの？とまで言われたから、とりあえず落ちていた木刀を、手に取って構えた。



『うちの師範は、恋仲でもない女に手ェ出すようないやらしい方ではありません』



…………まあ確かに、あの開放的な隊服がいやらしいのは認めるが。(心の声)



そんな私の反論に、宇髄様はやれやれとでも言うかのように首を振る。



「ふん。そらお前、処女の幻想な。ヤローなんざ皆、考えてるこた同じだわ」


『チィッ…………風の呼吸、』


「目が本気なのと舌打ちヤメテ？」



そこからは小1時間ほど、宇髄様と(わりと本気の)打ち込み稽古となった。



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