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そして、椚ヶ丘中学校演劇発表会の日がやってきた。
他クラスは衣装に凝っていたり、小説を自分たちなりに解釈して演じたり、椚ヶ丘の生徒らしい雰囲気の劇だった。盛り上がった空気で迎えたこの楽しいお昼時にあんな思いをするとは誰も思わなかっただろう。
「よし、皆やるぞ！」
「おー！！」
それぞれが配置につき、合図をしたところで開幕の
*****
『桃です』
そんなセリフから始まった殺せんせー主演の桃太郎。欲望に塗れたお爺さんと天使のようなお婆さんのハートフルストーリーだ。
いや、嘘だ。
狭間さんが手掛けた物語は鬼ヶ島は人間の心の中にあるのかもしれない、という現実的な物語だった。どんな手を使ってでも自分の欲を果たそうとする邪悪な鬼がいつか生まれてくる命に宿るのではと考えると恐ろしい。
なんとも考えさせられる演劇だったが、昼食中の本校舎の皆様方にはお気に召さなかったようで食欲が失せたと怒号を浴びせられた。マナーが悪い彼等にゴミを投げつけられながら、私達は殺せんせーやセットを回収した。
*****
「しっかし杉野は熱演だったよなー」
「あんな邪悪な顔ができるとはね」
教室に戻った私達は先程の反省会なるもので盛り上がっていた。反省など微塵もしていないが。
賑わう教室から2人が抜けた。カエデと渚だ。楽しい時間ももうすぐ終わり。あの子を、守らなくちゃ。どうすべきか、何が正解なのか、分からないけれど、私に出来ることはただひとつだ。
私は皆に見えないように、拳をぎゅっと握りしめた。
*****
30分程して、大きな破壊音が聞こえた。私達は音に向かって駆け出した。
「殺せんせー！」
「今の音は…」
体育倉庫の前に集まった私達の目に映ったのは、冷たい目で触手をうねらせる少女の姿だった。
「…茅野さん」
「…何？その触手？」
"茅野カエデ" を脱いだ少女は冷笑していた。
「…茅野さん。君は一体…」
「ごめんね。茅野カエデは本名じゃないの。雪村あぐりの妹…そう言ったらわかるでしょ？人殺し」
殺せんせーの問い掛けに、彼女はさらに鋭い瞳で答えた。驚く一同には目もくれず、ただ
「必ず殺れる。今の私なら」
そう言い残して彼女は山奥に消えていった。
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クラスペディア(プロフ) - とても面白いです！続き楽しみにしてます！ (2019年11月30日 12時) (
レス) id: 62ecb839ba (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコマメ(プロフ) - とっても面白いです！応援してます！！頑張ってください！！ (2019年8月6日 15時) (レス) id: e0e3b2ec8d (このIDを非表示/違反報告)
Liar.@旧雪の飴 - めちゃんこ好きです！！！これからも頑張ってください！！ (2019年7月15日 22時) (レス) id: 1ec8cf476f (このIDを非表示/違反報告)
朱桜よろん - こんなに素晴らしい作品を……ありがとうございます……！次に更新されるのを楽しみに待ってます！頑張ってください！ (2019年7月1日 18時) (レス) id: 04adea9d04 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - すごく面白くて好きです！更新されるのを毎日楽しみに待っています！ (2019年7月1日 17時) (レス) id: 14b092647b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜桃 | 作成日時：2019年6月10日 21時
