数学というものは複雑である ページ35
*
「解の公式を使うんだが、ここで皆つまずくわけだ。」
「うんうん」
「普通ならイコールゼロの所に移行して...自分で式をつくる」
「はぁ?!何で!」
「知らねぇよ...問題文にそう書いてあんだから」
ぐるぐる巻きの包帯の足を揺らして私は机の上に身を乗り出そうとしたが失敗した。
頭上から今日何度目になるかわからないため息が降ってきた。
仕方ないじゃんかよ、こちとら好きで入院してるわけじゃないんだし。
「あんま暴れんじゃねぇよ」
「心配ありがとう」
「してねぇよ。お前の耳は都合いいことしか聞こえねぇのか、こら」
病室に来てくれる回数はぐっと増えて距離もぐっと近くなった。...気がする。
口をへの字に曲げて土方君は、やめたやめたと机にペンをほっぽり出した。
「えっ、まだ途中...」
「休憩だ。茶買ってくるがお前は何が欲しい?」
「あ、えーと...じゃあ私も」
それだけ聞くと彼は後ろ手に引き戸を閉めていった。
彼がいなくなると静まり返る病室。
痛いほどの静かな空間に嫌気がさす。
「早く治んないかな...」
思い浮かぶのはアイツの顔で。
「え、いや...何で?」
勝手に脳内で再生されるアイツの声。
『うぎゃー!土方きめぇ!』
『うっせー、馬鹿A』
『今の見たかよ、土方さんの顔』
あー...会いたいなぁ。なんて思ったり。
「ったく...土方この野郎。茶押し付けて帰っていきやがった。」
「ぎゃぁぁぁぁーー!!」
噂をすればなんとやら。
まぁ、一人での噂なんだけど。
取り敢えず、心臓に悪い。
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百済(プロフ) - シナモンさん» 続編に突入させて頂きました!よければ読んでやってください…! (2018年3月24日 15時) (レス) id: fe9dde1d5a (このIDを非表示/違反報告)
シナモン - とっっっっても面白いです!更新待ってます! (2018年3月4日 18時) (レス) id: 65aef19a67 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!コメントとても励みになります!!今土台を作っております!頑張ります… (2017年8月1日 16時) (レス) id: bb23ef3dbe (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 凄く面白いです!次章も気になります!更新頑張って下さい!!応援してます!! (2017年5月19日 20時) (レス) id: 1847792d84 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - アルハさん» それは良かったです!! 少し多忙なので、それがひと段落ついたら第2章に進みたいと思っておりますので宜しくお願いしますm(_ _)m (2016年11月27日 22時) (レス) id: f608f6dd31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百済 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/54efcae0b51/
作成日時:2015年5月3日 18時