苦いもの ページ22
手首を引っ張ったと同時に口に押し込まれる物体。
広がるのは脂っこい食欲をそそるような味で白御飯が食べたくなった。
「それじゃあ俺が弁当を奪い取った悪人みてーじゃねーか。」
薄黄緑色の優しい色合いをしたお箸を口元に持っていきながら沖田は眉を寄せた。
そして私を向かい側の席に無理矢理座らすと口元に近付くピーマン。
「あーん。」
「いや、あーんて...」
「あ?俺のあーんじゃあ食えねってのかィ。」
渋々ピーマンを受け入れて口の中で転がしてやるとまだ苦い。
もう少し丁寧に中の種など取るべきだったと反省させられた。
そしてもう一度口元に運ばれてきたそれは緑色をした炒め物で。
それを食べればまたピーマンがやってきた。
「沖田よ。ピーマンも食べなさい」
「苦い」
「だから身長が伸び...いだだだだ!」
視界が一瞬暗くなったと思えば頭に痛みが走る。グリグリと沖田の拳が私の頭を襲う。
ごめんなさいと手を合わせて叫べばまだグリグリされるので涙がでてくる。
「いや、沖田くんは全然身長高いよね、うん。私より高いんだもんね。うん!」
「分かればいいんでィ。さっ、どうぞ」
そうしてピーマンは結局私の胃の中へと全て収まってしまったのだけれど。
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百済(プロフ) - シナモンさん» 続編に突入させて頂きました!よければ読んでやってください…! (2018年3月24日 15時) (レス) id: fe9dde1d5a (このIDを非表示/違反報告)
シナモン - とっっっっても面白いです!更新待ってます! (2018年3月4日 18時) (レス) id: 65aef19a67 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!コメントとても励みになります!!今土台を作っております!頑張ります… (2017年8月1日 16時) (レス) id: bb23ef3dbe (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 凄く面白いです!次章も気になります!更新頑張って下さい!!応援してます!! (2017年5月19日 20時) (レス) id: 1847792d84 (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - アルハさん» それは良かったです!! 少し多忙なので、それがひと段落ついたら第2章に進みたいと思っておりますので宜しくお願いしますm(_ _)m (2016年11月27日 22時) (レス) id: f608f6dd31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百済 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/54efcae0b51/
作成日時:2015年5月3日 18時