第十話/龍神切吉光 ページ9
「……ねぇ、これからどうするのさ」
床に落ちたマニキュアを拾うように腰を屈めた加州清光は言った。
周りの者は、誰一人とて言葉を発さずに何とも言えぬ顔で歯をぎりっと食いしばった。
龍神切吉光はその大きな瞳から大量の涙を零しており、刀種が同じ短刀たちは龍神切と同じように、涙を零すのであった。
「…主がいない?ふざけるな」
常に笑い続け、温厚でみんなのお母さんてき立場である燭台切光忠は刀に手をかけ、今にも刀身をあらわにして時の政府に乗り込みそうな勢いである。
殺気が立ち、こんなにも、主が大切なんだとみな痛感した。
「なあ、三日月の旦那。これからどうするんだ?」
「……分からん」
「はあ!?アンタ、天下五剣のうちの一振りなんだろ?それくらい考えてよ!」
「おい、清光っ!」
胸倉に掴みかかり怒号をあげる加州に大和守安定が強く声を荒げる。
「っふざけないでください!ぼくたちだってかなしいのに!」
「そうだよ、喧嘩している暇だったら作戦でも考えたらどうなのさ!ボクたちのこと考えてる?」
「……僕だって……」
今剣を先頭に乱藤四郎、龍神切が声を出した。加州はごめん、とだけ言って少し不機嫌そうに顔をゆがめて床に腰を投げかけた。
「……政府に抗うしかないのではないか?」
三日月と同じ刀派である、小狐丸が三日月の目をじっと見つめていった。どこかその瞳はすべてを見透かしてしまいそうで龍神切は静かに息をのんだ。
「小狐丸殿!?政府に抗うだなんて…政府は私たちを作った人間ですぞ!?どれだけ危険か……」
「そんなことは分かっておる。ただ、これしかないということじゃ」
小狐丸に抗うように一期一振が声を荒げれば、目線を床に落として首を静かに振った。
「っそうですよ!政府に抗えば!」
「兄弟…」
「まだ僕たちには時間もあるし……」
鯰尾藤四郎が、そう言った。
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赤黒 柚子見(プロフ) - セレーネーさん» 長くコメント残してしまったかもと思いましたのでパスワード記載のコメントは削除させて頂きました。もしまた知りたい場合はもう一度お願いします。 (2020年6月7日 14時) (レス) id: 06134be286 (このIDを非表示/違反報告)
セレーネー - パスワードは何ですか? (2020年5月24日 21時) (レス) id: 449f884b9a (このIDを非表示/違反報告)
セレーネー - 1回目の更新します! (2020年5月24日 19時) (レス) id: 449f884b9a (このIDを非表示/違反報告)
蒼の火(プロフ) - 3回目やります (2020年4月20日 17時) (レス) id: 330cc05ab0 (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 次、2回目やります (2020年4月20日 16時) (レス) id: 3003a1c972 (このIDを非表示/違反報告)
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